Talk w/z フランク重虎(VALKILLY)&KIRIA【6】

【6】マキシマイザーを捨てた男~音圧戦争に終止符を!~

音悪くして、わざわざ発売しなきゃいけないので、イヤなんですよ!(フランク重虎)

sugiura: マスタリング、何でやってるんですか?
フランク重虎: 結構色んなもの使いますよ。Wavesを一通り使うこともありますし。あとは結構レコードで済ませちゃうこともありますよ…プロペラヘッドの。レコードのミキシングコンソールで全部済ませちゃうことも。なので、つまりSSLの直線系。シールダーですか。
sugiura: はいはいはい。
フランク重虎: DAWは使い勝手でSONARとか使っていますね。

DAW:Digital Audio Workstationの略。音楽制作に関して必要な機能が一通り揃ったソフトのこと。SONAR、Cubase、Logic、Digital Performerなどが有名。

sugiura: ああ、そうなんだ。
フランク重虎: 最後CDに完パケするときに、割と肝になっちゃうのが、ブリックウォールリミッターで、マキシマイザーでどんだけ音が変わっちゃうか、うまい具合に音圧だけ上げていくかっていうのがあって。

ブリックウォールリミッター:「ブリックウォール」はレンガの壁という意味。音量を設定したレベルより下に抑えるリミッターの動作のこと。設定したレベルの所に固い壁があるというイメージである。

マキシマイザー:市販CDのレベルまで音圧を上げるエフェクターのこと。マスタリングという最終工程に使用する。これによって、楽曲の音圧を上げることで、迫力を出すことが出来る。また、いかにナチュラルに音圧を上げるかで、優劣が決まる。無理矢理音圧を上げたり、失敗すると、音が割れたり、つぶれてしまい、ノイズのように聴こえることもある。

音圧:聴感上の音量のこと。音が大きく聞こえるとか、小さく感じるなどの感覚のこと。ピーク時の音(楽曲中の最も大きい音)を下げる(削る)ことで、全体の音の大きさをピークに近づけて上げることができる(これを「音圧を稼ぐ」という)。全体の音圧を一定に近づくように上げると、楽曲全体の音圧が上がる、つまりボリュームが大きく聴こえるようになる。

sugiura: ものによってムッチャ変わりますもんね。曲によっても…他の曲は大丈夫なんだけど、この曲だけが、とか…
フランク重虎: そうなんですよ!だから曲によって変えてますよ。L3か、またはオックスフォードのリミッターか、どっちかで。

リミッター:設定した音量よりも大きな音が入力されたときに、出力を抑えるエフェクター。歪みを押さえたり、音の粒をそろえる目的で使用される。

sugiura: いいっすね!
フランク重虎: あれはいいですね!
sugiura: あれ、いいっす。倍音コントロールできるやつ。

倍音コントロール:エキサイターのこと。高域の倍音を強調することによって、音にメリハリをつけ、前に引き立たせるような効果を作り出すエフェクターのこと。音色や音量バランスを変えることなく、音の輪郭をはっきりさせたい場合に使う。

フランク重虎: そうです。エンハンスのできるやつ。あれでダメな曲もあるんですけど、たまにL3でいいときがあるんですけど、ほとんどやっぱオックスフォードは、まぁそれなりに、あんまり元音変えずに、(音圧)上げてくれますね。

エンハンス:エフェクトの一種。音を際立たせる効果のあるものを指して使われる言葉。一般的には、高音域に対してなんらかの倍音を追加すること。

sugiura: その、ナチュラルな感じで言うと、L1とかが結構好きですね。
フランク重虎: あ!L1は…そうですね。
sugiura: あのL1自体よりも、あれについてるハムノイズのとるやつ。あの…ディザーでしたっけ。あそこらへんがすごく効きますね。

ハムノイズ:交流電源の周波数である50Hz、60Hzの周波数が、信号中に入ることで発生する、連続した雑音のこと。ケーブルなどから混入し、主に「ブーン」というような低音で聞こえる。

フランク重虎: 効きますね。確かに、確かにそうですね。そうなんですよ…僕はもう、音圧戦争から逃げたいんですよね。
sugiura: 確かに確かに。
miqui: あぁ!
sugiura: 上げる必要があるのか?っていう。
フランク重虎: 無駄なんですね。あれ。
miqui: 音圧戦争…(笑)

音圧戦争:90年代の末期頃から、レコード会社各社が一斉に始めた音圧を上げる競争のこと。本来の音質を歪(ゆが)めても、より大きく聴こえる音を目指し、日々戦っている。理由は、パッと聴いた感じの迫力が得られ、放送などで目立つことができるからである。これにより、CDの音質が酷く劣化したといわれている。

フランク重虎: 音悪くして、わざわざ発売しなきゃいけないので、イヤなんですよ!
sugiura: それは多分、やってない人には分からないですよね。
フランク重虎: ですね!あれって結局、放送で流したり、いわゆる天吊りのシールスピーカーですか…(天井を見て)これから流して、音変わらないようにっていうだけのためじゃないですか。楽曲としてはもう崩すしかないんで。で、しかも誰もがいい感じ(いい環境)で聴くわけじゃないですから。やっても(音圧上げても)…っていうのがありますよね。
sugiura: 確かに。
フランク重虎: 僕はもっと、本当はダイナミクス出したいんですよね。

ダイナミクス:楽器の音や声などの音量変化のこと。これをできるだけ失くさないと、音圧が稼げない。

miqui: うん。あぁ、そっかぁ。
sugiura: そうなんすよね。
フランク重虎: できればマイナ2くらいがピーク(最も音が大きい部分)で、リリース出来たら最高だなと。
sugiura: あぁ、確かに。
フランク重虎: ヘッドルームをなるべく落として録りたいなと思っていますね。

ヘッドルーム:記録可能な最大の信号の大きさと、実際に録音する音のピークとの間の余裕のこと。

sugiura: 確かに。バスドラが結構高めにとって、マイナス5~6くらい下げた、大体そのくらいのスイッチですよね。
フランク重虎: そうですね。そうなんですよね。だから、まぁVUで見て、大体マイナス6ぐらいに抑えてみたいなという感じなんですよ。…いやぁ、でもほんと、もう(音圧戦争)終わってほしいですね。

VU:VUとはvolume unitの事で、音量の単位のようなもの。ここではVUメーターを指している。

sugiura: (終わって)ほしいですね。
フランク重虎: 外人の大物、やめないかな?って思ってますもん。エアロスミスとかやめてくれないかな…
miqui: あぁ~!そういうことかぁ。
フランク重虎: 誰か発言権のある人がやめれば、他もやめていけるんですけどね。
sugiura: 確かに。
miqui: なるほど。
フランク重虎: あとはもう流行にしちゃうとかですね。今カセットテープで曲聴いてる人っていないじゃないですか。ウォークマンで。で、今大体みんなデジタルで、mp3プレイヤーで、ヘッドフォンもそれなりにいいじゃないですか。聴くモノ良くなったんだから、もういいんじゃない?って。
sugiura: 聴くモノに、音量コントロールあるのが、なんでわからないのか?っていう。
KIRIA: 確かにー!オマエらでコントロールしろよ!っていう。
miqui: (笑)
フランク重虎: ノーマライズだけでいいんじゃないかっていう。あのー、なんかすごい…ラジオ文化というか。

ノーマライズ:波形編集ソフトやDAWなどに装備されている機能の一つ。オーディオデータの音量を、標準のレベルに合わせる機能のこと。

sugiura: RMSとか、大体マイナス12とか、あの辺りが一番良かったり…8くらいまで突っ込んじゃうと、結構低音とか変わっちゃうし。
フランク重虎: そうなんですよ。抜けは悪くなるし。
sugiura: でも、やらざるをえないかな?っていう…なんていうのかな…
フランク重虎: やらないと!結局さっきのアレじゃないですけど、素人って言われちゃうんですよね(笑)「音デカくないCDは素人」って言われちゃうんですよ。あれがおかしいと思うんですよね。
miqui: うんうん。
フランク重虎: だから、(音圧戦争)終わらせるミュージシャンいたら、ヒーローですよね。全ミュージシャン、エンジニアのヒーローになれますよね。

…レコードでパンパンにしようがないっていうのもありますね。溝がない!っていう。ツルッツルっていう(笑)(フランク重虎)

sugiura: ナインインチ(Nine Inch Nails)辺りがね。やるんじゃないかな?っていう。
miqui: あ!ナインインチとかやれそうじゃない?
フランク重虎: N★E★R★Dあたりの変わりモンがやってくれそうですよね。ナインインチとかもやりそうですし、プロディジーとかもやりそうですね。
sugiura: あとPendulumとか、Sub Focusとか。
フランク重虎: そうそう、だからそういう意味でクラシックとか、うらやましいなぁって思うんですよ。
KIRIA: (笑)
フランク重虎: 唯一、音圧戦争がないっていう。
miqui: そうだ!そうだ。平和!
sugiura: すぎやまこういちとかね。ムッチャちっちゃい!
miqui: ちぃさいよねぇ~!
フランク重虎: あと昭和のCDって超ちっちゃくないですか?
全員: (笑)
miqui: なんで?あれ?(笑)
フランク重虎: 昭和のCDってちっちゃいですよね~。
miqui: ドキッとするもん!(笑)逆に、小さすぎて!(笑)
フランク重虎: ダイナミクスはすごいあるんですよね。
miqui: そう!そう!(笑)
sugiura: ドラクエのサントラとかすごいレンジがあって。

レンジ:音の大きさの幅のこと。

miqui: 驚くよね。うぉおっ!?って。
フランク重虎: 下げなきゃいけない!
sugiura: どっちかっていうと(笑)
KIRIA: こっちが下げるしかない(笑)
miqui: 最初すごい(音量)全開にしてて(笑)
全員: (笑)
KIRIA: 聴いてる側がビックリしちゃうっていう(笑)
フランク重虎: ライブ感が伝わった!ってことですよね(笑)
sugiura: そうなんすよ。
フランク重虎: 重要ですよね。
sugiura: 重要です。
miqui: すごい分かる(笑)
フランク重虎: ビックリさせるCD作りたいなって思いますもん。
sugiura: 確かに。
KIRIA: いきなりね!っていう(笑)
フランク重虎: 久しぶりに音量でビックリするCD(笑)
miqui: (笑)
フランク重虎: それ、やりたいなぁ。インディーズのうちに、もうやろうかなぁ。あ、でもインディーズのうちにそれやったら、余計それ(素人っぽいと)言われちゃうからダメっすね。
miqui: そうかぁ。
フランク重虎: 僕の、バァっと上で出したときの、メジャーリリースでの、最終目標は、それですね。
KIRIA: 音圧戦争、終わらせる。
フランク重虎: そう!ある意味それまで終わってほしくないっていう。
KIRIA: 「オレがヒーローだ」っていう(笑)
miqui: 「オレが終わらせる!」(笑)
KIRIA: 「オレが終わらせてやんよ」(笑)
フランク重虎: ターミネーターだっていう。
sugiura: マキシマイザーを捨てた男っていう(笑)
フランク重虎: そう!「マキシマイザーを捨てた男」!超カッコイイじゃないですか!(笑)
sugiura: カッコイイッすね。
フランク重虎: そういう「男のCD」を出してみたいですね。
miqui: (笑)
sugiura: たまにレッドついちゃったりして。

レッド:音が大きすぎて、赤いピークランプがつく。そのことを「レッドがつく」と呼んでいる。

フランク重虎: たまにクリップしちゃう(笑)

クリップ:信号波形のピーク部分が、一定のレベルで飽和し、潰れてしまうこと。 音としてはレベルオーバーで歪みが発生した状態。

sugiura: 「それがまたいいんだぁ!」みたいな。
miqui: …あー面白い(笑)
フランク重虎: マキシマイザーはもう完全に、そのクリップさけるために使ってる。インプットを上げずにっていう感じで。

何?500円札って…(KIRIA)

フランク重虎: …昭和のCDの小ささは今ほんとに笑う。大体1993~94年からデカくなり始めましたよね。
sugiura: そうですね。
KIRIA: へぇ~。
miqui: そうなんだ。
sugiura: CDが出始めて、ちょっとたってからですね。
miqui: そうか、CDからかぁ。
sugiura: やっぱレコードとかだったらさ、聴く側からしたら、太く聴こえますもんね。
フランク重虎: そうですね。…レコードでパンパンにしようがないっていうのもありますね。溝がない!っていう。ツルッツルっていう(笑)
miqui: (笑)
sugiura: 確かに!(笑)
フランク重虎: 音量幅の溝がないっていう(笑)
sugiura: いや、でもレコードでもすっごい音量差があるのがあって。ヴァンヘイレンかなんかで、すっげぇ音が小さいのがあって。「なんでこれこんなにちっちゃいんだろ?」っていうのがあって。
フランク重虎: 多分どっかでブワッと盛り上がるところがあって、その溝がジャンプ台みたいになってて…
全員: (笑)
フランク重虎: 一気にこう(ジャンプ台のように)なる溝が。そのためにヘッドルーム残してるんだと思いますよ。
sugiura: そういう価値観じゃない時代があったということですよね。つまり。
フランク重虎: そうですよね。まさに、「コンサートで聴く感じを、家で」というようなのを再現したいという。CDって、昔買ったときに『注意書き』みたいなのって書いてあったじゃないですか。「このCDは何ヘルツ~何ヘルツまで出て、まるでコンサートホールのような…」とか書いてありましたよね。
sugiura: 確かに。
miqui: へぇ!
フランク重虎: きりんこ(KIRIA)は、そういうCD買ったことないの?
KIRIA: なーい。
フランク重虎: ほんと?
miqui: え?それは普通のシングル(CD)?
フランク重虎: 自分が小学生の時は、普通にアルバムとかはCDの解説が書いてありましたよね。
sugiura: ありましたね。最初、ベートーベンの「運命」か何かでしたっけ?
フランク重虎: 一番初めのCD。「CDプレイヤー発売中!」みたいな。覚えてますもん。
sugiura: 確かあれが基準になってて、それが入る分数が、いわゆるデフォルトなんだよね。
フランク重虎: そうですよね。100デシ…決まってるんですよね。
miqui: へぇ!
フランク重虎: フィリップスがCDプレイヤー発表したの、記憶にありますもん。つくば万博のときってCDありましたっけ?ありましたよね?あ、あったあった。’85だからありましたね。で、まだカセットも…新星堂とかで(CDとカセット)半分半分で売ってたんですよね。
miqui: あぁ、そうなんだ!
sugiura: そうですね。全然オレなんかカセットとか、いわゆるLPですよね。…LPって言ってもわかんないでしょ?
KIRIA: わかんないです。全く。聞いたことしか…
sugiura: あ、500円札知らないでしょ、だって。500円札って知ってる?
KIRIA: えぇっ!?知らないですよ!
フランク重虎: え!?500円札知らないの?
KIRIA: 知らない!
フランク重虎: そうなんだ…
sugiura: ほらぁ!
KIRIA: 何?500円札って…
フランク重虎: 500円札ってお年玉でもらったことないでしょ?
KIRIA: えぇ~!500円札知らない…
sugiura: 若いね。
フランク重虎: 一万円札がでかかったときですよ。
miqui: 一万円札ってでかかったっけ?
sugiura: 聖徳太子だよ。
miqui: そうだっけ?
フランク重虎: 福沢諭吉じゃない頃ですよ。
KIRIA: でもそれは見たことある。ひとまわり大きいんですよね。
sugiura: そう…歳が離れていても、音楽の話ができるのがすごいよね。
フランク重虎: 完全に脱線したんですけど、うまく戻しましたね。
全員: (笑)
フランク重虎: 感動した、今(笑)
miqui: (笑)
KIRIA: (音楽の話は)国境がない感じがいいですよね。
sugiura: なんで500円札の話になっちゃったんだっけ?
KIRIA: すごい謎だった!(笑)CDの話で、ヘルツが書いてあるっていうので…年代モノになっていった(笑)
フランク重虎: 年代モノの話だ(笑)
sugiura: ほんとに、レコードで買ってました。
フランク重虎: ですよね。僕の実家にCDのデッキが来たっていう…記憶にありますもん。4chのステレオとかありましたもんね。
sugiura: っ!そんなのあるんですか!?
フランク重虎: ありますあります。

【7】ファイルフォーマット談義・KIRIAの宅録伝説に続く…2011/7/30 公開予定


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