Heinrich Von Ofterdingen×神代学園幻光録クル・ヌ・ギ・ア Special Site


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インタビュー【miqui編】

(8月某日、都内某所にて)

…杉浦師には全体的なことを伺いましたので、miquiさんには歌モノを中心に伺いたいと思います。まず、主題歌に関して教えていただけますか。
miqui「はい。今回用意させていただいたデモは3曲で、その中でも一番勢いのある楽曲(蒼穹航路-SkyCruisers-)が選ばれて…疾走感のある楽曲です。個人的には、一番『杉浦感』があるともいえますね。」

―彼の音楽の母体のようなもの…そもそも『何故音楽をやっているのか』

…『杉浦感』ですか。
miqui「彼がかなり昔からやっているバンドで『BAUDE-LAIRE』というバンドがあるんですが、そっちのほうがハインリヒよりも長くやってて、彼の音楽の母体のようなものですね。そのライブを私も見に行ったり、音源聴いたりしていたんですが、その、杉浦が元々持っている『BAUDE-LAIRE』の世界観に非常に酷似していて…酷似というか、似ているんじゃなくてそれそのものなんですが(笑)…本人が打ち出しているわけですからね。いや、でも今までは『ハインリヒ』というカテゴリというか、そういったものを意識していたのかは分からないですが、なんとなく、区別化しているような気がしていたんですけど、今回のこの楽曲に関しては、杉浦の元々持っているもの、究極の…そもそも『何故音楽をやっているのか』というところが出ている気がしました。そのくらい彼自身が出ているというか、キャラというか、なんというか。」

…イントロからあれですもんね(笑)。(PVで聴けます>>こちら
miqui「そうなんですよ(笑)。ライブでも何度かやらせていただいたのですが…。初披露の時は、もう、杉浦の趣味を知っているファンの方からは微笑みが零れてて。ステージから見てると笑っているのが見えるんですよ。それにコード進行も、その往年の『BAUDE-LAIRE』感が出ているので…実際『BAUDE-LAIRE』のメンバーの准(UnsraW)が今ライブに参加してくれているんですが、リハ(練習)の前に初めて聴かせた時に『これ、[ボウド(BAUDE-LAIRE)]じゃん!」って。ハインリヒ始めて5年くらいですが、やっと杉浦師も本性現したか…とか思ってます(笑)。」

…作詞に関してはどうでしたか?
miqui「そうですね、実はこの曲の歌詞はとても前に出来ていたんです。『天空への回廊-SEE THE LIGHT-』(スペクトラルジーン主題歌)を作ったころに新曲を一緒に8曲くらいかな?作って。その中に『水晶庭園〜CrystalAbyyss〜』という楽曲があったんですけど…その歌詞が実はこれだったんです。その時『やっぱ違うかな』と思って、直前に思い切って書き直して、そっちの歌詞を採用したんです。だからこの歌詞は本来ならもう二度と…ね。」

…そういうことは結構あるんですか?
miqui「いや、普通はないです(笑)。たまたまその頃のノートをパラパラ見ていたら、その没った歌詞があって…もうグチャーってバッテンしてあったりするんですよ。絶対使わないと思ってるから。線を何重にも引いて消したりしてるし…そこまでしても自分で一度書いているから、何が書いてあるかは分かるんです。それ見ていたら何だか『あれ?これいいじゃん…』って思ったんです。熟成されていたというか、今だからそう思えるのかもしれないけど…客観視できるようになっていたんですね。今なら歌えるな、って。」

―いつの日かに放たれた矢のような『衝動』…それを忘れてないか?って

…冒頭から「君はまだ覚えている?」ですもんね。
miqui「あ、まさに!(笑)自分に言っていたのかな…。そう、次に続く『放たれた矢の行方』というのが楽曲聴いた瞬間から常に頭にあって。いつの日かに放たれた矢のような『衝動』…それを忘れてないか?って思って。もうそのあとはいつも通り…湧いてくるものをどんどん書いてって。もうノンストップ、自分の世界ですよ(笑)。今回はあまり迷わなかったかな。IF(アイディアファクトリー)さんに持っていったデモの3曲は全部そんな感じで、全く迷い無しで。」

…レコーディングもそんな感じでしたか?
miqui「ええ、今までで一番早かったと思います。こんなことってあるんだ?って自分でも疑っちゃうくらい、すぐに終わって。その時の清々しい気分…未だに覚えています(笑)。『蒼穹航路〜』に関しては歌い方のアプローチで若干調整しましたが、その後はもう即行でしたね。」

…「歌い方のアプローチ」というのは…。
miqui「ハインリヒって、まず杉浦師が曲作ってきたらその場でいきなり歌うんです、そのまま録っちゃうんですよ。だからその場で『こう歌う』というのが決まるんです。結成当初から変わらないんですけど…。そうそう、最初の頃は歌詞もその場で考えて、録っちゃってました。」

―結局何でもいいんです。表現さえ出来れば。

…え?即興なんですか?
miqui「そうなんです。その場で出てくる言葉が本物みたいな気持ちでした…なんか…ついうっかり口に出てしまったことが本心だったりするじゃないですか?そのリアルなものを打ち出したいというのがそもそもあって。今は即興は無いですけど…あ!いや、ありました!今回エンディングテーマになった『刻のサヴァラン』というのが、即興です。そうだ、やってたんだ…。」

…難しいフレーズですよね?「斜(はすかい)に矮星」、「抗い出す静謐(せいひつ)」、「発条(ぜんまい)」とか…。
miqui「もうずっとこのスタイル(即興)だったので、随分と鍛えられたんです。杉浦師のレコーディングって半端ないんですよ。やった人には分かると思うんですが…実際杉浦師のレコーディングやった方とその話で盛り上がることもありますよ。信じられないくらい早くって…ヒドイよねって(笑)。」

…(笑)どのくらいの時間なんですか?
miqui「問題なければ1回歌って終わりです。それでその『終わり』っていう判断は杉浦が決めますから。彼が終わりだったら終わりなんです。もう二度とやらせてくれないんですよ。終わらなくなるからって。自分との戦いになっちゃうからって。」

…自分が一番厳しかったりしますからね。
miqui「そうなんですよ。何回も録り直したくなっちゃう。それをやり出すと終われなくなっちゃう。声はどんどんダメになるし。…で、ハインリヒの場合、歌詞も殆どその場で考えますから。だから前もって『この曲にはこういう歌詞を書きたい』って思ったことがない。『この曲ってこうなったんだぁ〜!』って完全に分かるのがレコーディングの日ですから。『じゃあ考えて』って30分くらい。スタジオとってるから絶対に間に合わないといけない。だからその30分で、普段思っていること、書きたいこと、メロとの噛み具合、そういうのを全部はめこんでいくんです。」

…物凄い集中力ですね。
miqui「だから日頃から、心構えから何から準備しておかないと…いつ『今からレコーディングだ!』って言われてもいいように。でも最近では仮のメロが入ったオケをあらかじめ貰っておくんですが、それはあくまでも『仮』で。絶対に信用できない。過信するとヤバイんです。前もって必死に考えていたとしても、録ってみたら全然合わなかったり、色々都合悪かったりして結局使わなかったりもするし、メロも音色(おんしょく)も変わったりする。だから自分の発想は柔らかくないとダメなんですよね。『絶対』とか言えないし。『こうじゃなきゃ厭!』とか『これしか考えられない』というのも通用しない。一つだけにこだわると自分がつらくなっちゃう。最初はそれがなかなか出来なかったんですけど…でもよくよく考えたら、全部自分から出るものなんだから、極端な話、結局何でもいいんですよ。だからどんな可能性もその場で考えます。いい曲にしたいというのと、…いい思い出にしたいというのもあって(笑)。」

―周りの人々がいないと、私は歌えない

…なるほど。それでは今回もサントラのコーラスに多用されているドイツ語はもっと大変ですよね。
miqui「ゲームのBGMコーラスに関しては、絶対に日本語はダメですし、英語も意味が分かるようなフレーズだとゲームのお邪魔になってしまうので、(杉浦から)それだけは避けてくれと(言われて)。勿論それは理解できますので、だったらやはりゲーム…戦闘といえば独逸(ドイツ)だろう!と(紙に『独逸』と書くmiqui)。一番力強い印象を与えられる有効的な言語だと思って使っています。前にやっていた『青い花』というプロジェクト(新紀幻想スペクトラルソウルズ2主題歌を担当)では全部の歌詞に古語を使っていたのですが、もうそれで随分慣れましたね。どんな言葉でも表現できるし、一つのツールとして…色んな言葉はそれぞれ雰囲気を持っていますから、どんどん使っていきたいと思います。先程言ったように、結局何でもいいんです。表現さえ出来れば。どんな言葉でも全部自分なので…表現を完成させることだけ考えます。」

…挿入歌の『トワイライト・ショウ』はエピソードありますか?
miqui「これはですね、この楽曲はそもそもオケだけだったんです。で、そのオケがあまりにも興味深い仕上がりだったので、『サントラCD出すときにこの楽曲のボーカル入りバージョン作りたいね』って言ってたんですよ。したら『じゃあ録っちゃおう』ってなって、いつものノリで(笑)。頭の中ではもうイメージがパパーンとあって…絵が何枚か、紙芝居のようにあったんです。だからハイ次、ハイ次、という感じで、それをその場で詞にまとめて。一回でしたね…歌録り…。それを大宮ディレクターに送ったら『使いましょう!』って仰ってくれて…詞を気に入ってくれたとのことで、それを訊いた時は本当に嬉しかったですね。それと同時に『ハインリヒも(ゲームに)登場してください!』って出演のお誘いを受けて。…その楽曲が出来てからシナリオが新しく加わったというのはあとから訊いて驚きましたね。」

…凄い勢いですね(笑)。
miqui「ですね。とにかく勢いです。迷ってるとそういうのって音楽には出やすいみたいです。逆に勢いがあるとそれもしっかり出るし。鮮度が大切なのかもしれないです。これは毎回思いますね。喉の調子もそうだし、あとはやっぱり『想い』もそうですね。あと周りの人々の勢い…勢いがある方というのはやはり凄いエネルギーを感じます。大宮ディレクターからは本当に、そのとめどないエネルギーを感じて、非常にいい影響を受けました。おかげで作業も随分捗りましたし、楽しかったですね。」

…ではこの勢いで、また今後も素晴らしい歌声を聴かせて下さい。
miqui「はい、私も楽しみにしています(笑)。というのも…やはり周りの人々がいないと、私は歌えないので…支えてくれる皆様と、この環境に常に感謝しています。これからも宜しくお願いします。」

(了)

>>杉浦勇紀編はこちら

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