Talk w/z eno【1】

【1】青い花の「殺気」、ハインリヒの「アソビ」

「オレからしたら、あの新聞記事もそうだけど
(そこに書いてあったのとは逆の意見で)、全く同じなんだよね。」(eno)

(プライベートな会話がしばらく続き…)
sugiura: 昨日はライブに来てくれて、
eno: そうなんですよ、ね~
sugiura: どうもありがとう…ございました(笑)
eno: お客として観るのはもう、5年以上…
sugiura: そんなになる?
eno: 青い花のライブを確か…新宿のどこだっけな…すごい良いハコで(観て)。…でもその時はちょうど、PAトラブルで止まってたけどね、映像が、音が。
sugiura: ああ、そう。
miqui: えーっ?
eno: ヒューンって止まってた。
sugiura: そんなことあったっけ?
eno: うん、そうそう、それ以来かな…あと渋谷のホールで一回観たね、あの、円形劇場みたいなとこ。
sugiura: あ、Pね。
miqui: asiaP(現在のGlad)?
eno: あそこで観たのが最後かもしんない。…(青い花とハインリヒは)全く違うけど、ジャンルは。でも全く同じ感じだけどね。
miqui: あぁ。
sugiura: なるほどなるほど。
eno: オレからしたら、あの新聞記事もそうだけど(そこに書いてあったのとは逆の意見で)、全く同じなんだよね。

新聞記事: Heinrich Von Ofterdingenの1stアルバム「NOW PRINTING」と、青い花1stアルバム「落落磊磊」が、東京スポーツ新聞(9月28日付)「厳選インディーズ」に「同一メンバーで二つの顔/唯一無二の世界観」と紹介され、話題に。
【関連サイト】
>>東スポ「厳選インディーズ」に掲載されました(blog:Heinrich Von Ofterdingen)

miqui: あぁ、そっか。enoからしてみればそうなのかもしれない。
eno: 違ってるのは、ドラムの音源、音圧感とかが爆裂になっているのと、使うギターが違うから、ニュアンスが全然違う。
miqui: うん、それはあるかもしれない。
sugiura: その…どうでしたか、曲とかは。
eno: そうですねぇ、ハインリヒの新作(NOW PRINTING)は、昔僕ら(BAUDE-LAIRE)が作ってた頃のデモ音源にあったリフとか、サビメロだったりがあるから、ただただ懐かしいし…
miqui: そっちだ!
eno: 懐かしい懐かしい。
sugiura: 変わらないんだよね。ある意味「ボウド(BAUDE-LAIRE)でやってたこと」とか、「青い花でやってたこと」とかに、制限がないっていうか。
eno: そうそう。ディレクターとか、ゲーム音楽のテイストとかで、制限があったのが(今は)無くなって、やりたいことやったらそりゃ「勇紀くん(sugiura)の曲」になるから。
sugiura: リミッターが外れてる状態なんだよね。
eno: 外れたけど…でも、すごくおとなしいんだよ。僕からしたら、ハインリヒは…結構、大人っぽく、大人しい。
miqui: えっ!そうなの?
eno: すっごいシックにまとまってる。
sugiura: あ、そう。
eno: オレ、青い花の頃のほうがよっぽど激しい(と思う)んだよね。トゲトゲしてる。
miqui: へぇ~。

eno: あと、なんていうんだろ?あの頃の殺気がすごかった。
sugiura: 殺気!
miqui: アハハハハハ(爆笑)
eno: 青い花の…「殺気」があるんだよ!
miqui: アハハハハハ(爆笑)
eno: 「楽しくやってんのかなぁ!?」っていう。これ書かなくていいんだけど。
miqui: え?書くよ!(笑)これこそ書くよ!(笑)
eno: おぅ。ホントに好きで歌詞書いて、ホントに好きであの衣装着て、ホントに好きでこの会場で、ホントに好きで楽しく映像作ってやってんのか分かんなくて。
miqui: へぇ~!
eno: 特に「いざさらん♪」って(映像が)フラッシュバックの曲(せうそこ)あるでしょ、あれはもう、ただただ殺気しか感じなかった。怖かった、あの曲は。映像も込みで。
sugiura: うん。
eno: あれが強烈に印象づいてて、こないだ(出した青い花のアルバム「落落磊磊」)の予告編のクリップ(PV)見せてもらったときに、例えば女子高生の絵とか、社会派気取りのドキュメンタリー監督の写真とかがフラッシュバックで焼きついてるのよ。曲とかライブより、オレ、その映像の時の殺気が焼きついてて、怖い映画を観た感じだったもん。

こないだ(出した青い花のアルバム「落落磊磊」)の予告編のクリップ(PV):

Heinrich Von Ofterdingenの別名ユニット「青い花」が2010年9月1日にリリースしたアルバム「落落磊磊」のPV。enoが言っている、「いざさらん♪」って(映像が)フラッシュバックの曲(せうそこ)は0:17あたりから流れ、その中の画像素材として、女子高生の絵とか、社会派気取りのドキュメンタリー監督の写真とかが使われている。

miqui: へぇ~。
sugiura: なるほどね。
eno: ハインリヒはもう、笑顔で見れる。
miqui: (笑)
eno: 「あ~、(ベースを弾いてるmiquiの)小指、つらそうだなぁ~」
miqui: 私だ!(笑)
eno: だから完全にお客さんとしてよりは、旧友が楽しくやっているのを楽しく観るという感じでしたね~。
sugiura: うん。
eno: だから、いい意味で、ゆったりとした…曲の音程も下がってるし、音圧も倍以上に膨れてる。けど、いい感じに軽い。心地よい。
sugiura: なるほどね。映像を使ってることによるメリットというのは、「曲に対してのイメージが増幅する」とか、あるいは「確定する」とかなんだよね。で、映像が無いことによってのメリットもあって、それは「如何様(いかよう)にもイメージできる」というメリットがあると思うんだよね。その辺がV(映像)を使う上での難しさだったりしてさ。
eno: うん。でも青い花は「アソビ」がなかったんだよね。入り込む余地というよりは「見せられてる」。しっとりとしたハリウッド映画を見せられてる感じ。ハインリヒはもうフランス映画っぽいけど。
miqui: 逆に!?そうなんだ!

eno: 多分、オレ、一般のユーザーとは全く聴き方違うよ。
sugiura: なるほどね。
miqui: へぇ~意外!
sugiura: 面白いね。
eno: 面白い面白い。作りこまれた分数と…ライブ30分を作品としてたでしょ、青い花は。
miqui: まぁそうだよね。つながってるもん。
eno: ライブのトラッキングが調整されて、曲順も決まってた。で、どうしても(映像に映していた)歌詞(の現代語訳)見ちゃうから、その視線誘導もいいんだけど、映像作品見てる感じだったなぁ。
miqui: 確かになぁ…
sugiura: 混沌とするよね。
eno: その混沌がよかったよね。すごい、でも、圧倒された。客も、ただただ圧倒されてたと思う。
miqui: なるほどなぁ…
eno: ハインリヒはバンドになったから。それは(miquiが)ベースを持ったっていうすごい大きな違いもあると思う。
miqui: うーん。そうなのかも。
eno: 人が弾いてるベースの音って絶対遅れたり速くなったりする。それってライブ聴いてるお客には伝わんないけど、僕らプレイヤー、エンジニアには分かるんだよ。「いいツッコミだぁ」「あ、ちょい緊張してるなぁ」とか、「ああ、ここはベース後(あと)ノリで来るんだ、TURBULENCEとかは。後ノリで来るんだ~」
miqui: あは!あぁ。
eno: 多分歌ってて気持ちいいんだろうなぁ、とかは。
miqui: はずかしいー!

「毎回違う要素っていうのを今回は作ってある。」(sugiura)

eno: ただ、全くあの頃と変わってない、何一つ変わってない…オレとやってた(BAUDE-LAIREの)頃も、青い花も、ハインリヒも変わってないのは、勇紀くん(sugiura)なんだけどね。
sugiura: うそ?
miqui: あぁ。フラット?
eno: フラット。すごいフラット。でも昨日が一番楽しそうだったね~。
sugiura: まぁ、楽しいね。自分で楽しめる情報量に落としてるというのがあるんだけどね。
eno: あと、今はフライングVかな。あの、いい女性に出会った感が…

フライングV: sugiuraがNOW PRINTINGリリース後のライブから使用しているギター「フライングV(Flying V)」は、GIBSONのエレキギター。変形ギターの先駆け的存在で、日本では布袋寅泰、BOOM BOOM SATELLITES、筋肉少女帯の橘高文彦などが使用している。座ると弾きづらい。
【関連サイト】
>>細かいことは気にするな「GIBSON Flying V」編(SUGIURAND)
>>ノーセンキュー(SUGIURAND)

sugiura: そうそうそうそう。
eno: テンションの高まりがね。
sugiura: びっくりだよね。今までなんでオレは持ってなかったんだよって思うくらい。
eno: そうだよ、「ごめんよ!ここまで来るのに…やっぱオマエが妻だよ!」って感じの。
miqui: ね。「もう他のギター使わないから売っていい」って言う勢いだもん。
eno: 本妻はいるんだよ。ジミーペイジのシグネチャー(レスポール)がいるんだけど。
miqui: ああ!そっか。
eno: すげー強力なLOVERをみつけましたね、あなた。現地妻はいっぱいいるんだけどね。Ibanezとか。
sugiura: そうそう。
miqui: でももうアイバ(Ibanez)も売ろうとしてるもんね…ライブで使わないのは。
sugiura: マニアックな話になっちゃうけど、5弦ベースのダウンチューニングと、6弦ギターのコンビネーションで、重低音は出せるという発見に達してしまったというのがあって。
eno: そう!訊いたらダウンチューニングじゃなくノーマルなんだよね。(あの音聞いたら)二音半下げてると思うもん。
sugiura: そうなんだよ。びっくりだよオレも。「まさか!」っていうね。
eno: いいね~。だから、隙のない青い花より(ハインリヒは)観てて楽しいね。
miqui: あ、そう?
eno: 「あ!あ!今そこでスライドバー、うまくポケットに入れるタイミング探してるなぁ?」みたいな感じの。

スライドバー: ボトルネックとも。ギターの奏法であるスライドギター(ボトルネックギター)で使用する。指に装着したり、手に持って、弦に接触させることにより音を奏でる。ボトルのネックと言うだけあってガラス製が主流だが、ブラス、鉄、ステンレス、陶器で作られたものもある。また大きさ、形状、重さ、材質などで、音の効果も異なる。sugiuraはライブでは主にガラス製を使用しているが、レコーディングではその辺にある「ボトルネックっぽい」ものを使うことも多い。

miqui: あはは(笑)細かっ!
eno: そういうとこまで見ちゃう。「あぁ、今の決まったね!ディレイ!決まったよ~」みたいな。
sugiura: その「アソビの部分はとっておいてある」っていうね。
eno: 毎回違うわけじゃん。ディレイのタイミングなんか…
sugiura: もちろん。同じに出来るわけがないから。
eno: そこがいい。そのアソビがいいよ。
sugiura: 毎回違う要素っていうのを今回は作ってある。
eno: それは観てるほうも、昨日来てくれた常連さんも、毎回楽しいと思う。ハインリヒは。
sugiura: 悪い意味で、青い花だと「良い」「悪い」がないんだよね。
eno: そうだよ。偶然の産物も少ないはず。ライブやっても。
miqui: そうそう。
sugiura: 安定しちゃっているのが、果たしてライブなのか?っていうのが疑問なところで、「良い」という意見もあれば「悪い」っていう意見がライブにはあっていいんだと思うんだよね、オレは。うまくいかなかったとかさ。でもそれは生でやっている要素があればこそのことなんだよね。
eno: だから、今年に入ってライブを何回も入れようと思ったのは、そういう偶然の産物が出来るバンド形態に戻ってきてるんだよね。
sugiura: そうだね。
eno: 楽しいでしょ?
sugiura: 楽しいね。もっと楽しくしたいって気分があって、まぁ次のやつなんかもっと、そういうロック感のある…感じなんだけどね…。
miqui: 次のやつ…(笑)

【2】白いアルバムに赤と青の実験 へ続く…


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