Talk w/z 堀江ケニー【4】

【4】Voodoo感とイマジネーション

「なんだこれ!?」みたいな。(kenny)

kenny: やっぱオレ、バンドに大切なのって、Voodoo感だと思うんですよ。
miqui: Voodoo感?!Voodooってなんですか?!
kenny: Voodooって呪術とか、見てこう、なんていうのかな…「ブワッ」ってこの…「なんだこれ!?」って思うの、大切だと思うんですよね。ツェッペリンとか、最初見たときに、Voodoo感あるじゃないですか。「なんだこれ!?」みたいな。
miqui: Voodoo感!?待って!Voodoo感!?なんだこれ?!
kenny: あのー、プロレスラーだったら、「未知のプロレスラー」みたいな。なんかこう…
miqui: 驚き?みたいな?
kenny: 驚きみたいな。なんかこう、普通の人って、普通なんですよ。普通に。なんかそうじゃなくて、Voodoo感なんですよね。昔のバンドだったら、ジョー山中がいたFLOWER TRAVELLIN’ BANDとか、「うゎっすっげーVoodooだよコレ!」みたいな。
miqui: (笑)昔からある言葉ですか?Voodooって…
kenny: いや、オレが勝手に作ったんですけど。
miqui: えっ!ちょっと待ってくださいよ!
kenny: Voodooは、その…呪術とかそういう、タヒチとかでVoodoo教…
miqui: MOJOみたいな感じなのかな?
kenny: あ、そんな感じでオレは使ってます。

Voodoo:
ブードゥは西アフリカで「精霊」の意味。ブードゥ教は教義も教典も泣く、宗教法人として認可された教団も無く、布教活動もしないため、民間信仰といわれている。日本では主に「魔術」や「おまじない」といった意味で使われることが多い。ちなみにmiquiの言っている「MOJO」は「不思議な力」のことである。オースティンパワーズから来ているが、辞書には「魔法の力、魔法の呪文」と載っている。

miqui: じゃあ分かる!分かる。分かりますそれは。音楽のエネルギー!なんかよく分からない力みたいな。
kenny: そうそうそう、強いて言えば、カリスマ性というか、なんだかよく分からないけど、なんか、すげーVoodooだなぁ…みたいのが、あるんですよ。
miqui: (笑)わかりますね。
sugiura: ツェッペリンもそうだし、まぁビートルズの後期とかもそうなんだけど、なんていうのかな、ショッキングな内容ですよね。
kenny: そうなんか…
kenny: sugiura: これ!?(笑)
kenny: っていうのがあって、かみついちゃうところが…
miqui: わかるそれ!
sugiura: なんだかよくわかんないけどすごいっていう…
kenny: だからある意味、(黒色すみれの)さっちゃんとかもちょっとVoodooなんですよね、オレは。
miqui: Voodoo!

(黒色すみれの)さっちゃん:
ロリータ・クラシック・ユニット「黒色すみれ」のバイオリンを担当。ハインリヒは青い花の時に対バンしたのが縁で、黒色すみれの喫茶店「すみれの天窓」でアコースティックライブも行なった。

kenny: なんですかこれは!?っていう。
miqui: (爆笑)

見ちゃいけないものみたいな。(kenny)

kenny: Voodoo感があったりするんですよ。
miqui: 他にVoodooな人っていました?今までで。
kenny: 好き、嫌いは別として、「たま」とかすごいVoodooじゃないですか。
miqui: 「たま」!?
kenny: たま。
miqui: たま、Voodooですね。

たま:
日本の音楽バンド。14代目イカ天キング。フォーク、ロックを主体にし独創的な音楽性で異彩を放った。1984年~2003年活動。代表曲は「さよなら人類」。

kenny: 「この…あの…なんだこれ?!」っていうのがあるじゃないですか。「なんすかこれ?」みたいなところが。
miqui: (笑)
kenny: 見ちゃいけないものみたいな。
miqui: それわかる!(笑)見ちゃいけない…(爆笑)
kenny: そういうなんか、忘れないじゃないですか、好き嫌いは別として。一回見たらそのインパクトたるや…でもジミーペイジもそうだったんですよ。
miqui: あぁ。
kenny: 「このインパクトって…」みたいな。なんだこのクネクネした動きといい、なんといい。デヴィッド・ボウイとかもVoodooだったし。
miqui: なるほど~。Voodoo感。

デヴィッド・ボウイ:
David Bowieは、イギリスを代表するマルチ・ミュージシャン。また俳優としても有名。本国イギリスでは20世紀のイギリスを代表するロック・スターのひとりといわれている。独自の美学、哲学の要素がサウンドに現れ、カウンターカルチャーの旗手とも言われた。コンセプトアルバムのリリース、架空のロックスターを演じてツアーを行なうなど、独自の世界観をその時代と共に確立した。アーティステックな面と商業面をうまく両立させている数少ないミュージシャンのうちの一人であり、「メジャーなカルトヒーロー」とも言われている。

kenny: で、ちょっとポップかもしれないけど、オレ椎名林檎とかにもVoodoo感じるんですよ。
miqui: あぁ~。はい。
kenny: すごいなぁと。
miqui: 思いますよね。
kenny: 東京事変とか、ありえない。
sugiura: ケニーさんの、写真とか、Voodooですよ。
miqui: Voodooですね!
sugiura: 何回か撮ってもらって、其れを見たり、他の方の写真を見たりして思うのが、すごい、空気を感じるんですね。
kenny: はいはい。
sugiura: その空気がエネルギッシュに感じるというか。なんだろうな。
miqui: ドラマチックなんですよ。写真1枚なのに。なのにっていう言い方したらアレですけど、一枚見るだけで、何かが分かっちゃうかのような気がしちゃう。ゾワゾワゾワゾワ…みたいな。
kenny: オレ、なんで写真…スチールが好きかっていうと、映像じゃなくて、
miqui: はい。
kenny: 映像って、全然いいし、映像でしか伝えられないものも大量にあると思うんですけど、その、写真ってその前後を想像させるのが好きなんですよね。
miqui: っす!そう。それが本当に叶えられてる。

モノクロの時点で、非日常になっちゃうんですよね。(kenny)

kenny: 映像はそのまんまのあれなんだけど。「何でこの人、ここにいるのかなぁ?」とか「どうやってここに到達して、このあとどうなるのかなぁ?」っていうのを想像させるのが、オレはすごい好きなんですよ。
miqui: だから、こないだ、ケニーさんがやった、個展に行きたかったんですけど。あの、うさぎの、時計の!写真を見たときに、「ええっ!?」って思って。「これは!?」ケニーさんが撮ってるから、絶対CGとかじゃないじゃないですか。ってことは、あそこにベットを…
kenny: 持ってった。
miqui: でしょ?!
kenny: 持っていきました。
miqui: それがぁっ!
kenny: 天蓋つきの、子供用のベッドなんですよ。
miqui: そう!でね、一見可愛いんだけど、
kenny: 怖いっすよね。
miqui: そうなの!その、リバーシブルな感じが「ケニーワールドだ!」と思って。
kenny: グリム童話チックな。ちょっと怖い感じが。
miqui: ほんとにすごいなって思ったんですよ。で、もちろんその空気感もあるし、そのドラマチックな感じもあるし…
kenny: だから、モノクロなんですよね。モノクロって、見る人が多分、色を想像するんですよ。
miqui: わかりますわかります。
kenny: この人は赤に見えたり、この人は黄色かな?って思ったりとか。で、モノクロの時点で、非日常になっちゃうんですよね。なんか、カラーは日常だと思うんですけど、モノクロで見る人なんていないから。その時点で、非日常になっちゃうんですよね。
miqui: そうなんですよね。
kenny: だからそれが最大の武器だと思うんですよ。
miqui: 最大の武器だと思います!
kenny: うん。イマジネーションと。
miqui: ほんとそう!だからね、今モノクロで共感したのが、英語ってそうなんですよ。日本人にしてみれば、「色がついてない」みたいな言葉なんですよ。だから勝手に想像できるでしょ。ちょっと知ってる単語が出てくれば、たとえば「Love」と言ったら、Loveは分かる。でも、それ以外のは分からない。でも、それってモノクロの感じにすごく近い!今感動した!そうだなぁと思って。
sugiura: 字幕のついてない映画とかそうだよね。逆に見てると楽しかったりするときあるよね。
kenny: やっぱ、ライブとかそうじゃないですか。この人たちってどういう人なんだろうなって想像させるのが。「何やってるのかな」「何なのかな」生活感が無い感じとか、そういうの大事だと思うんですよね。
miqui: 惹かれますよね。
kenny: 惹かれる。逆に隣の兄ちゃんみたいのが弾いてて「面白いな!」って思うこともあるけど、「なんだかよくわかんないけど、なんなんだろう、この人達?」って思うような感じの。二人(ハインリヒ)とか、絶対そうだと思うんですよ。
miqui: あ、そうですか?
kenny: 生活感の無い感じ。他のバンドの人って、なんか働いてて、バンドやってるんだろうなっていう感じが。大体がみんなそうです。なんか、想像できちゃうんですよね。でも、ステージ立つ人間て、それだけじゃなんかこう、パンチにかけるというか、分かっちゃった時点でオレなんかちょっとな…って思っちゃうところがあったりするんだけど。Voodooがやっぱり…なんか、無い!
miqui: (笑)
kenny: でもやっぱり、そう、やっぱりハインリヒはなんかVoodooありますよ。
miqui: あ、そうですか?!
kenny: あるある。
miqui: ああ、よかった!
kenny: わかんないもん。生活感ないもん。やっぱり。

【5】写真と、音楽と。へ続く…


Talk List【全7回】
※掲載の写真はすべて、堀江ケニー氏によるものです。

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