Talk w/z 堀江ケニー【5】

【5】写真と、音楽と。

「おもしれぇなぁ、写真って」って思って、そのときから。(kenny)

sugiura: 白糸の滝で、撮ってもらったじゃないですか。青い花のヴィジュアル面として言えば、あれがもうコンプリートできているという。あれ一枚があらわしてるというか。自分らが明確なヴィジョンをもってなかったんですよ。それを与えられたな、っていう感じがして。
kenny: うれしいですね。あれ、神秘的ですよね。
miqui: 私ね、すごいなぁと思ったのが、…ケニーさんてすごいなぁって思ったんですよ。なんでかっていうと、めちゃくちゃエネルギッシュじゃないですか。エネルギッシュっていうと、またちょっと違うのかもしれないけど…思い立ったが吉日!というか、「はい!じゃあ行きましょう!」みたいなのが、私には全く…そういうのが全く無い人間だったので、ものすごいこう、いい意味で衝撃を受けて、「あ、すごいな」って思ったんですよね。…そのパワーの源は、どこなんだろう?って思って。…写真を始めたきっかけとかって訊いちゃって大丈夫なんですか?
kenny: 全然。写真は子供の頃から、いじるのが…
miqui: 好きだったんですか。
kenny: いじるのって機械的にとかじゃなくて、なんでもいいから撮るのが好きで。小学校…中学校くらいに親から与えられたコダックの、今思うと変なカメラだったんですけど、それでなんか、ただ周り撮ってて。なんか面白いなぁって。
miqui: じゃあもうすっごい小さい時から?小学校?
kenny: 小学校の終わりから、中学校の頭くらい?
miqui: じゃあ一番、ちょっと多感な時期に。
kenny: そうそうそう。友達と遊びに行く時、いつも持ってて。
miqui: か、かっこいい!
kenny: それで撮ってましたね。パシパシ。
miqui: へぇ。今で言うトイカメラに近いんですかね。
kenny: あ、もうモロモロ。今で言うとトイカメラ。完全にトイカメラ。
miqui: こういう…なんか。
kenny: こういう真四角で、コダックだったんですよ。で、フイルムも今なくなっちゃったんだけど、カセット式でボンって入れるやつで…
miqui: はいはいはい!昔ありましたよね。私こういう、細長いの持ってて、ガンって入れて…
kenny: そうそう、それの、もうちょっと、35mm版のちょっとでかい感じのがあったんです。今思えばすげえ貴重なフィルム。
miqui: そうなんですよね。今フイルムね、どんどんなくなって。
kenny: ないない。ほんと、ないんですよ。
miqui: じゃあ、そのときからずうっとですか?
kenny: 高校の時に、写真部に。やっぱり興味あって、写真部に入って。「おもしれぇなぁ、写真って」って思って、そのときから。
miqui: sugiura: へぇ~

アナログで撮っていい、許される人間なんて今、ほとんどいなくて。(kenny)

kenny: でも今みたいに全然撮ってなくて、普通の人撮ったりとか、街撮ったりとか、そんなんでしたけど。
miqui: じゃあずうっとだぁ!
kenny: 撮ってましたね。うん。
miqui: 結構、現像代とかって、バカにならない…(笑)今と違って。
kenny: そうそうそう。バカになんない。
miqui: 私、トイカメラを買って、初めて、衝撃をうけたもん。やっぱり現像に行くと、
kenny: ビビりますよね。
miqui: ビビりましたね。
kenny: だから、自分で(現像)やるようになったりする。
miqui: あ、そっかそっか。
kenny: でも大変だったりするんですよ。大変以外の何物でもない。ほんとに。めんどくさい。
miqui: (笑)でもやっぱりデジタルに行かないのは、やっぱりその良さを…デジタルは一切やらない?
kenny: デジタルは、デジタルで仕事があるときには全然あるけど。例えば○○とかの仕事の時は、
miqui: ○○!?やってるんですか!?
sugiura: へぇ…。
kenny: そういうときは、デジタル以外ありえない。アナログで撮っていい、許される人間なんて今、ほとんどいなくて。そんな予算かけられる人なんて、いないし。そんなの許された、選ばれし人間だけですよ。
sugiura: なんでもやっていかないとですもんね。
kenny: そうです。
miqui: うちで言えば、オーケストラ奏者を呼ぶか!ってことだよ。ね?デジタルで打ち込むか。
sugiura: というより、オレ着メロの打ち込みのバイトとかやったことあってさ。そういうこともやらなきゃいけないってことだよ。
kenny: 作品撮るときは、つまらないです、デジタルは。なんか、ダメなんですよね。所詮、ドットだし。あんなの。なんか、嫌いなんですよ。
miqui: 全然違いますよね、やっぱり。
sugiura: 音楽もそうなんですけど、こう、丁寧に構築させていくじゃないですか。手間ヒマのかかる作業じゃないですか。でもそれが、人と人とのコミュニケーションツールとして、成り立っている最大の要因じゃないかなって思うんですよ。多分、写真でもそうなんじゃないかなと思うんですよ。恐らく、そういう手間ヒマがかかってるからこそ、コミュニケーションツールに成り得たというか。だって、誰でも出来るもんだったらさ、わざわざ人に頼ることないもんね。
kenny: そうなんですよ。
sugiura: 似てますよね。そういう意味で。

その見返りとして、バッチリ合ったときは最高に気持ちいい。(sugiura)

kenny: 似ていると思う。写真が楽なのは、一人でなんでもできちゃうんですよ。オレがこれやろう!と思えばできちゃうし、明日やろう!と思えばできちゃうけど、バンドって他の人もいっぱいいるから、大変ですよね。一人の意見じゃなくて、全員の意見が入ってくるから。まさに、いつもみんなが言ってるように、フットワークが軽い、人数少ないほうが。絶対に。多くなると、ものすごく、足踏みが揃わない。自分が「いい!」と思っても、一緒にやってる人間でさえ「うーん」って思っていたりとかするし。
sugiura: コード進行1個ですげぇもめたりしますもんね(笑)
kenny: そーなんですよ!まさに。「え!?ここで!?」みたいな。
miqui: (笑)
sugiura: 「このタイミングで!?」(笑)
kenny: そうなんですよ、まさに。ほんとにほんとに。「え?なんでそこで違うかなぁ!?」みたいな。一人だったら別に関係ないじゃないですか。一人で好きなことやっていればいいんだから。でもバンドってまさに、まさに。なんかそのドラムのビートだったりとか、コード進行一つで、「単音合ってないよ!」とか「え?これ合ってないの?」
miqui: うん。ありますね。
kenny: 「なんか違くない?」って、でも本人は全然気付いてなくて、「違う…かぁ!?」みたいな。
miqui: あはは(笑)
kenny: そこで、止まるじゃないですか。
miqui: 止まる。止まる。分かります。
kenny: それが、バンドはすごく大変。
sugiura: その見返りとして、バッチリ合ったときは最高に気持ちいい。
kenny: 確かにそうなんですよね!
miqui: あ、逆にね。
sugiura: うん。
kenny: 確かに。その通り。
miqui: なるほどなぁ。
kenny: その違いがすごいでかい。写真と、バンドって。でかい。
miqui: うん。あぁそっか。
kenny: 写真は好きなことやって、作品とか好きなことやっても、別に誰も「それ違うよ!」っていう人いないけど、バンドってね、好きなことやってりゃ「え?なんか違くね?」って絶対なる。絶対なるんですよね。
miqui: わかる。だって二人でもなりますもん!バンド、じゃないかもしれないけど(笑)二人でもなりますね。
kenny: ですよね。大変。ほんとに。
sugiura: その時、相手の意見を掘り下げて聞いていくしかないんですよね。

生ものですよね。音楽は、ライブはほんとに。(miqui)

kenny: そう。そういうときって、その、時とかタイミングとかもあるじゃないですか。「今日は、なんか、(相手の意見)聞ける日だなぁ」っていうときもあるし、最初っからなんとなく「なんだコイツ、めんどくせぇなぁ」って思うときも…日によって全然あるだろうし。(笑)
miqui: あはは(笑)
sugiura: はははは!(爆笑)
kenny: 「うわぁ、めんどくさいよ。どうでもいいでしょそんなのー」みたいなー。
miqui: ははは(爆笑)
sugiura: 「どっちでもいいよ!そんなのー」みたいな。(笑)
kenny: そうそう。自分の心に余裕があるときはなんか、「聞いてやろうかな?」っていうのがあるけど、
miqui: (爆笑)
kenny: 心に余裕がないときとかって、「なんだよっ!」みたいなとき、あるじゃないですか。
sugiura: 「おまえ止めるなよ!」みたいな。(笑)
kenny: あるじゃないですか!(笑)
miqui: うん(笑)ありますね。
kenny: ありますよー。
miqui: 人ですからね。(笑)面白い。(笑)
kenny: 音が聞こえないとか、あるじゃないですか。リハやってても、ライブのときでも、「なんか音全然聞こえないし!」みたいな。
miqui: うんうんうん。
kenny: ありますよね。「え?!弾いてる!?」みたいな。「あれぇ?」って。
miqui: ちょっと待って…(爆笑)
kenny: 自分の音が妙にでかかったりとか。
miqui: あ、PAさんの?調整で?とか?
kenny: とか、自分の(ほうで)ボリュームがでかかったり…あとで聞いたら「オレの音ばっかデカいよ…」って…
miqui: (笑)
kenny: 全然ありますよね…
miqui: 生ものですよね。音楽は、ライブはほんとに。
kenny: 難しい。いつまでたっても難しい。
miqui: まぁそこが、面白いところでもあり、ですよね?
sugiura: だから、やり続けないといけないですもんね。
kenny: そうですよね。そうそうそう。

【6】ギター談義 へ続く…


Talk List【全7回】
※掲載の写真はすべて、堀江ケニー氏によるものです。


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