Talk w/z Takashi【1】

【1】コンセプトという檻からの脱却

(プライベートな会話がしばらく続き…)
sugiura: (NOW PRINTING)聴いてくれたんだよね?
Takashi: 聴きました聴きました聴きました。そう、で、さっき言ったことの繰り返しですけど、やっぱり前のと比べて、音のつくりが違うんだなぁと、
sugiura: そうそうそうそう、全く違うね
Takashi: で、なんだろうな…懐かしさもあったんですよね、僕の中で。
sugiura: 昔からのつながりみたいなのを感じたの?
Takashi: そうそう、そこがまだ生きてんだなっていう…あの頭のパット感、パットの空気感とか、音は良くなってるし、きっといい音源を使ってるとは思うんですけど、前よりも…
sugiura: あれは、なんだっけな、ATMOSPHEREかな?

ATMOSPHERE: SPECTRASONICS社のソフトシンセの名称。「ドリーム・シンセ・モジュール」と呼ばれ、PADサウンドをはじめ、膨大なアンビエントサウンドを堪能できる。「グラディエイター」、「トラフィック」、「Xファイル」、「タイタニック」など、大音量のシアターで再生された時、圧倒的な迫力で客を包み込むサウンドを必要とする映画には必ずといっていいほど使われている。現在はバージョンアップして「Omnisphere」として販売している。>>公式

Takashi: うんうん、やっぱりあの空気感みたいなのが入ってきて、ゆっくり入ってきて、で、ブレイクビーツに入ってくる、あの流れっていうのは、「うわコレ昔やってたな、好きだなコレ!」っていう、僕もあの中(ART±MODE)で、よりポップスでしたけど、歌ってたじゃないですか。ああこれは懐かしいなぁ~という感じがすごい…
sugiura: 例えばさ、そのART±MODEの時やってたことを…アレって結局デジタルと、そのロック、いわゆる「デジロック」だよね、それをやろうという、ひとつコンセプトだったわけじゃない?
Takashi: そうですね。
sugiura: で、そのあと(自分は)ボウド(ボウドレイル)とかで生バンド寄りの音をやったわけじゃない?

ボウドレイル: ボウドレイル(BAUDE-LAIRE)はsugiura率いるライフワーク的バンド。>>公式

Takashi: うんうん。
sugiura: で、自分の中でもバンドごとに、例えば「青い花」であったりさ、サウンドのカラーっていうのを分けていたんだよね。意図的にやっていたわけなんだけども、今回この作品NOW PRINTINGでは、「そういうの無くしてみよう」みたいな、ようするに「何やってもOKだよ!」って言われたときに何作るのかなっていう…

青い花: Heinrich Von Ofterdingenの別名ユニット(同じメンバーで構成)。インダストリアル・エスノを主軸に、古語で歌うなど、和風でオリエンタルな楽曲を展開。>>公式

Takashi: そう、あのそういう自分が懐かしいと思う曲もありの、四つ打ち系みたいなのもありの、ちょっとミニマムっぽいこともやっていたじゃないですか?
sugiura: そうそう。
miqui: (笑)
Takashi: 面白いことやってんな!と思って(笑)コレ絶対「ぷーっ!(笑)」とかいいながら作ってんだろうなと思って。(笑)
sugiura: そうそうそうそう(笑)KAOSSILATORだけで作ったやつ(MASTER BASTION)とかあって…

KAOSSILATOR: コルグのシンセサイザー音源をポケット・サイズに凝縮した、ダイナミック・フレーズ・シンセサイザー。強力なシンセサイザー・サウンドをタッチ・パッドで操作し、自由自在にメロディー/フレーズを演奏することができる。ちなみにsugiuraが使っているのは限定色のピンク。>>公式

Takashi: 絶対ね、作りながら、勇紀(sugiura)さんの顔が浮かぶなぁと思って。コレ作ってるときに「ぷーっ!(笑)」って言いながら作ってるっていうね…(笑)
sugiura: 「こんなの聞かされちゃたまらないダロ!」みたいな(笑)
Takashi: そうそうそう(笑)
sugiura: 「ザマーミロ!」みたいなね(笑)
Takashi: そうそう(笑)絶対そういうのあっただろうなって。そういうのが、まぁ一緒にやっていたがゆえに、結構浮かんだ作品でしたね、やっぱり。遊びの部分も含めて。
sugiura: そう、それが遊びだと気付いてくれて、嬉しい。(笑)
miqui: (笑)
sugiura: あれを「これ…なんだろう?」みたいにね、真剣に聞かれちゃうとね(笑)
Takashi・miqui: (笑)
Takashi: でも、遊びでやったって言ってるのに、作りは凄いなって思いました。やっぱいい音だし、出せないよなって思って、
sugiura: いやいやいや…
Takashi: 僕もミニマムやりたいと思って作ったことあるんですけど、ああいうふうにならないんだよなぁっていう。
sugiura: うーん、なんかね、楽器を最初「コレでいこう!」みたいな感じで決めちゃって、どっちかっていうと制約を作っちゃうんだよね、最初に。「これだけでやる」みたいな。そうすると決まりやすいっていうのがあるけどね。
Takashi: 面白いですよね、パズルみたいですよね。
sugiura: そうそうそう、あんまり考えずに、「感じるんだ!」みたいな。
Takashi: まぁね、まさにそういうこと…(笑)
miqui: (笑)

やっぱ「曲を作る人なんだな!」って感じがしたんですよ。
「音楽をやってる人なんだな!」っていう。(Takashi)

Takashi: あのほんとに、面白い作品だなと思って。色んな顔があるし、で、本当にやりたいのはどこなのか?っていうのは多分、自分らの中にはきっとあるんだろうと思うんですけど…多分どことってもいいんだろうなって思って。聴いてる感じとしては。
sugiura: うーん、そうだね、その「コンセプトを作らないこと」がある意味コンセプトだったっていうかさ、
Takashi: うんうん。
sugiura: 結局、他のさ、仕事でやってると、コンセプチャルにやらざるを得ないじゃない?
Takashi: まぁそうですね。ある程度の型(かた)は。
sugiura: そうそう。だから「このアーティストに対してこういう楽曲だったら変だ」というのがあるわけじゃない?
Takashi: ありますね。
sugiura: でも自分自身が発信するものだと、そこが関係ないわけじゃない?一番自由に創作できるっていうかね。
Takashi: それは確かにあるかもしれない。
sugiura: そういうところで、そうした場合どういったものが出来るのかっていうのが、オレ自身が興味があったんだよね。予測できないっていうかさ。
Takashi: うん。
sugiura: そういうことばっかやってきたからさ、なんていうのかな、あのー…
Takashi: 形があって、コンセプトがあって、っていうね。
sugiura: そうそう、例えば「青い花」だったらさ、和楽器が絶対にいるとか、もちろんそういうコンセプトがあるからこそ固まってくるというものもあるんだけど、なんかそういうの考えないでよりナチュラルな姿勢というか、難しいこと考えずに作ったらどんなものが出来るかな?っていう、そういう興味だよね。
Takashi: そうね。だからやっぱ「曲を作る人なんだな!」って感じがしたんですよ。ようするに「音楽をやってる人なんだな!」っていう。
sugiura: どういう意味!?それ?キミ…
miqui: (笑)
sugiura: なによ…?(笑)
Takashi: いや僕は、ART±MODEというものがあって、まぁボーカリストとしてやっていたわけじゃないですか。で、パフォーマンスとかボーカルという立ち位置にいて、色々やって勉強もさせてもらったんですけど、解散しますって話になった際に、「あーオレこれで歌を歌う機会無くなるな」って思ったんですよ。
sugiura: うん、でも(その後)自分で「Σ-sigma-」ってバンド作ってたじゃない?
Takashi: そう。だから、結局抜けちゃったら、歌えなくなるなって思ったから「しょうがねぇな、作ってみるか」と思って作ったんですよ。
miqui: あー…
sugiura: そうそう、それでライブを観にいったじゃない?

【2】生音VS打ち込みグルグル論へ続く…


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