Talk w/z Takashi【5】

【5】アイドル作曲家道

もう、死んじゃうだけだからね。(sugiura)

sugiura: ART±MODEやってたときも「今何聴いてんの?」ってきいたら、
sugiura・Takashi: 「モー娘」(笑)
Takashi: ちょうどその頃ですね。で、勇紀(sugiura)さんが「チャララララッチャラッチャラッ」っていうギターをよく弾いて遊んでた(笑)
sugiura: そうそう。
miqui: あるねあるね(笑)
sugiura・Takashi: ラブマシーン(笑)
Takashi: 僕はアイドルがすごい好きで、ずうっと聞いてきて…、でも僕はアイドルにはなれないじゃないですか。
miqui: ん?
Takashi: アイドルにはなれないじゃないですか、僕は。男の子だし。
sugiura: はははは(笑)
miqui: 女の子のアイドルにね!
Takashi: そうそう、なれないじゃないですか。そうすると、ああいうものを自分がなろうとしても出来なくて、ああいうピュアなラブソングみたいなものとか、ああいうものを僕が言いたくても言えないから。作ったら、女の子に歌ってもらえるじゃないですか。そしたらいっちばん目の前でファンですよ僕。
miqui: (笑)
Takashi: いっちばん目の前で、それを見れるわけじゃないですか。
miqui: うんうんうん(笑)
sugiura: それはアレだよな、それは自分が好きだっていうのをちゃんと活かせてるよね。
Takashi: ほんとに好きこそものの上手なれというところに…結局でも僕はそこに気付くのがちょっと遅かったので、やっと最近そこにね、自分の視点を向けて…ちょっとかっこつけたかったんですよ。自分も歌いたくて「ロックやる!」とか言ってやってたんですけど、それはそれでやっていればいいんですけど、ただ自分が好きなものって「もう一個あるじゃない!」って。「アイドルとか好きじゃない?!」って思って。こっちに曲を書いてみたら、もしかしたら面白いもの作れるのかな~ってやりはじめたら、まぁ割と今、楽しくやれてるなぁっていうね。
sugiura: 「好きだな」とか「やりたいな」とかいうのは全部やらないとね。やったほうがいいと思うし。
Takashi: ですね。
sugiura: あのー、ほんと、アレじゃん、あっという間に時間経っていっちゃうじゃん。
miqui: ほんと早い。
sugiura: で、もう、死んじゃうだけだからね。
Takashi: ね。
sugiura: そう思うと、やらないよりやったほうがいい感じはするよね。それは、なんていうのかな、世の中にとって、いいものだとか悪いものだとかそういうことじゃない。やるか、やらないか、だから。
Takashi: そうですよね。
sugiura: で、考えながらさ、苦しみながらさ、「できないなぁ」って言ってるよりも、できないなりものを作ってしまって、それを公開してしまったほうがいいと思うんだわ。
Takashi: そうですね。だから「アイドルが好きです」っていうファンっていっぱいいるじゃないですか。その人達の中から突然「曲を書きたい」ってヤツが出てきたってだけだと思うんですよね。で、突然そういう人間が出てきて、たまたまアイドルの曲書いちゃったりして…普通のアイドルファンからすれば、アイドル好きなおっさんが曲書いてるから、イヤだと思うんですね。
miqui: (笑)

「なんで歌えねぇんだよ!」とかなるの、いやじゃないですか。(Takashi)

Takashi: あの、ツイッターのツイートとかで僕今自分の好きなアイドルのことしか言ってないですから。
miqui: うんうん。
Takashi: そうすると、ただのアイドルオタクなのに曲書いて、アイドルの近くにいて、「なんだコイツ」みたいな…
miqui: え、だってそれが一番自然じゃない?
Takashi: そう、だって、近づきたかったから、曲書くようになったんだもん、オレ。みたいな…
miqui: だって、好きな人が書いたほうが、絶対にいいよね。たとえばさ、餃子がすごい好きな人が、餃子を作るのと同じで、一番おいしい餃子を作れるじゃない?きっと。こだわりがあるから。だから、一番いいんだよ。天職だよ。と、思う。
Takashi: なるほどね。でも、それ食べるのが才能の人もいるんですよ、多分。
miqui: あはは(笑)
sugiura: あ、ラーメンを喰いにいって、ここはちょっとなんか、ちがうな…みたいな。
Takashi: ようするに、餃子を食べることに才能がある人もいるけど、餃子を作れない人もいるわけですよね。
miqui: なるほど!
sugiura: うん、そう、だからその餃子を食べて、「この餃子はちょっとオレの好みじゃない」と思っても、いいんだと思うんだよ。だって、オマエ、喰ってんじゃん!って。その時点でオマエその餃子食ってんだから、作ったやつの勝ちだよ!ってさ。
Takashi: まあね(笑)
miqui: まあね(笑)
sugiura: だから、ようするに評価がいいものであれ、悪いものであれ、その人が聴いたかどうかが大事なんだよ。絶対。
Takashi: うんうん、まぁそうですよね。
sugiura: それは色々言われていいと思うし、公開する以上、絶対色々言われてしまうものだものね。
Takashi: まぁ言われてるかどうかすら今は上がっては来ないですけど、今のところはね。でも自分がアイドルのファンだったら、「作曲家!」っていう人がついてて、「作曲家の先生!」みたいな人を想像するじゃないですか、やっぱ曲書いてる人って。が、アイドルオタクでワッキャワッキャしてたら、「○○ちゃんかわいい!うひゃー」とか言ってたら、それはそれで「なんだろ?」って思いますよね、多分。それは想像して無いでしょ、多分、世の中は(笑)
miqui: あー、そうかもしれない。
Takashi: だから異色かもしれないし、「本当に好きなことやってんだな、楽しそうだなオマエ」みたいな。
sugiura: でも健康だよ。それは、「やりたくないけど、喰っていかなきゃいけないから」っていう理由でやってるヤツよりは余程強いよね。
miqui: あー、イヤでやってるよりはね。
Takashi: まぁ、そうですね。うん。いや、楽しいですよ、自分が作った曲をかわいい女の子が歌うっていう…
sugiura: なるほどなー。
Takashi: で、ライブとか、ぎこちなかったりするのを見て、「まったくもう!かわいいな!」とか思いながら見てるのもいい。
miqui: あははっ。
Takashi: これがまた楽しいんです。
sugiura: なるほどね。
Takashi: 「がんばれ!」って。お父さんみたいな気持ち。
miqui: なるほどね!
Takashi: そう、娘のお遊戯会観にいってるお父さんみたいな。
miqui: あぁ。
sugiura: 面白いなぁ。
miqui: ね。何人くらいアイドルいるの?
Takashi: 今担当しているアイドルは7人組なんですけど、あとはね、地下アイドル的な子たちで二人組みの子と、電波っぽい子達をやっていたりとか、あとはこれからちょっとソロの女の子もお手伝いするっていう話もあるし、とか。ぼちぼち。今度はね、メジャーなアイドルに曲を書く事を目標にね、がんばっていかなきゃなと思うんですけどね。皆さんががんばってメジャーに行っていただくのはもちろんありがたいし、もっと大きいところで、もっと多くの人に、この子達のかわいさを伝えたいし、っていうのはありますよね。
miqui: そっかそっかそっかそっか。
sugiura: でもそういう風に思ってることは、実現可能な範囲だと思うよ。それを、やっぱり思えないっていうかさ、こうなろう!っていうところがないとさ、そこに向かって努力しないから行けないと思うんだよ。
Takashi: うん、結局、音楽聴かないとか言っても、より上に上にっていうことを考えていくと、結局やっぱり聴くことにはなるんですよね。研究もしなきゃいけないし、とか、「この音どうやって出してるんだ?」とか。最近になって逆に、研究っていう形ではあれど、やたらめったらアイドルソングをまた聴き始めた。途中でやめちゃっていたんですよね、聴くのを。
sugiura: まぁそうだよね、好きな音楽になると、それがどうやって構築されているかのほうが興味が出てきちゃうもんね。
Takashi: そうですね。うん。
sugiura: 聴き方が、純粋じゃないんだよね(笑)
Takashi: そう!最近そういう聴き方になってきちゃってるな、というのがあるけど、
sugiura: でもそれはね、当然だと思う。(音楽)やってる人だったら。(曲)書いてる人間であれば、絶対にそれは考えなきゃいけないことだと思うし、
Takashi: 今本当に好きなアイドル、一番好きなアイドルは、極力、自分がよっぽどの力をつけるまでは、曲を書くとか、したくないなぁっていう気がしてます。純粋に、遊べなくなるというか。楽しく聴けなくなっちゃうかなと思って。
sugiura: そうそう、楽しく聴ける音楽が変わってくるよね。オレなんかさ、家で聴くものと言ったらさ、もっぱらデスメタルとかさ、ハードコアテクノとかなのよ。なぜなら、自分の音楽のことを考えないで唯一聴ける音楽だから。
Takashi: うーん、ハードコアテクノって面白いですよね。
sugiura: 面白い面白い。
Takashi: オレ好きですよ意外と。
sugiura: 歌のサンプルとかがわけがわかんなくていい。(笑)
Takashi: わけがわかんなくていい。(笑)
sugiura: そう、「このループに対してこのフレーズを当ててくる!」ってさ、ちょっとなんかもう常識的じゃないよって感じでしょ。すごい楽しいんだよね、聴いててそういうのが。Pendulumとか聴いてたりすると、オレは面白いけどね。でも最終的には「これどうやって音作ってんだろ?」って考えてる自分がいるんだけどさ。
Takashi: 結局そうなっちゃうんですよね。そう、だから今一番好きなアイドルのライブとかすごい行ってるんですよ。ほんとに。もうキモチワルイくらい行ってて。
miqui: (笑)
Takashi: もう毎週土日とか。イベントをやりやがるんで。毎週土日とかにもう駆けずり回ってるんですよ。
miqui: え、どういうところに行くの?どういうライブハウスなの?
Takashi: ライブハウスでやることはあんまりなくて、
miqui: イベントスペースとか?
Takashi: うん、CD売ったりとかのために…CD一枚買ったら、ライブに行けて、そこでもう一枚予約すると、握手できますとか。
miqui: うんうんうん。
Takashi: もういいお客さんですよ。どんどん買いますからね。
miqui: えーっ!そうなんだぁ
Takashi: 家にCD何枚あるかわからない、みたいな。(笑)
miqui: へぇ~

Takashi: でもそういうのに行くじゃないですか。で「あの子たちには曲を提供しよう」とかっていう風に思っちゃうと、楽しめなくなるなと思って。
miqui: あ、急にサーっと冷めちゃう、冷めるっていうか仕事モードになっちゃう?
Takashi: だってね、ライブ行って、暴れられないじゃないですか。もう。
miqui: あー
Takashi: うん、「かわいいなぁ」では済まなくなるじゃないですか。やっぱり。
sugiura: 自分の好きなものは好きなものでとっておきたい気持ちはあるよね。
Takashi: うん、あれはとっておきたいかなって。他のアイドルさんたちに、もちろんメジャーなアイドルさんとか、地下のアイドルさんとか色んなジャンルの人達に曲を提供していきたいという思いはあるんですけど、あの子達だけは書きたくないな今、っていうのが…
miqui: あるんだそういうのが!
sugiura: 楽しみじゃなくなっちゃうからね。
Takashi: そうなんです。
sugiura: 苦しみになっちゃうからね。
Takashi: 苦しくなっちゃう。作れねぇ!とか。
sugiura: またそういう、自分が「好きだ」っていうのがあると、それがむしろネックになって書けなくなったりしてね。
Takashi: もしそれが採用されたとして、レコーディングとか行って、ディレクションとかするじゃないですか。「なんで歌えねぇんだよ!」とかなるの、いやじゃないですか。
miqui: い、イヤだね!(笑)
sugiura: オレが悪いのか?みたいなね。(笑)
Takashi: 「そこちげーよ!」とか思っても、言いづらいし、
miqui: 「かわいいからいいやっ!」とか(笑)
Takashi: 言っちゃいだすと、今度は多分、仕事になっちゃうじゃないですか。だからそうなりたくないなって、いうのはありますね。
miqui: あぁ、微妙なね、複雑な思いが…

なんか目標立てようよ、ハインリヒも。(miqui)

Takashi: そう、だから『****(本人の希望により名前伏せます)』というのがいるんですけどね、あれだけはもう、ダメですね、今。
miqui: いいんだ?(笑)
Takashi: 『****』やばいっす。
sugiura: でもそれが原動力になってるんだよね。
Takashi: そう。だからいずれ書きたいと思ってるんだと思うんですよ。
sugiura: でもそう思っていたら、さっきも言ったけど、できるよ。自然と。
Takashi: 気持ち悪い話なんですけど、あのー、握手会の時にお手紙を渡したんですよ。そのときに、「曲を書きたいからがんばります」ということを書いたんで、多分、書きたいんだと思うんですけど。ただ、今じゃないと思ってる。
miqui: へぇ~、そうなんだ。
Takashi: もっと力をつけて…
miqui: あ、すごいね、なんか…そういう目標があるの。
sugiura: すごい。
miqui: なんか目標立てようよ、ハインリヒも。

【6】「いい音楽」の定義へ続く…


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