Talk w/z Takashi【2】

【2】生音VS打ち込みグルグル論

ってことで、パソコンを買わされてね…やりたくないのに…(sugiura)

Neve 8068 recording console / photo by rockmixer

sugiura: そうそう、それでライブを観にいったじゃない?
miqui: 私も行った!
sugiura: そうそう。で見て、事実上そのART±MODEのラインを継承しているのはΣ-sigma-だなって思ったけどね。
Takashi: まぁそうですね。それはやっぱり言われますね、(ART±MODEを)知ってる人には。
sugiura: なんていうのかな…一貫性を感じたよね。
Takashi: 申しわけないんですけど、勇紀(sugiura)さんのコード進行パクらせてもらったりとか(笑)
Takashi・miqui: (笑)
Takashi: 意外とパクってるとか(笑)
sugiura: いいんですよ、それは。
miqui: いいんですか。(笑)
sugiura: うん、全く、あの、なんていうのかな…
miqui: ART±MODEっぽさみたいなのが受け継がれてるってことだもんね?
sugiura: うん、そうそう。
Takashi: まぁデジタルロックっていうね、ブレイクビーツを取り入れてるっていうところは変わってないんで…
sugiura: うん。
Takashi: なんかね、やらなきゃいけなくてやったんですよね、多分。曲を作ることを、はじめに。
sugiura: あ、そんなのはね、みんなそうなんだって。
Takashi: そうなんすか?
sugiura: オレもそうだよ、ぶっちゃけさ、(ART±MODEの時は)自分でさ、デモテープを家で作って、それを結局マニピュレーターにデータ制作を依頼して、でそれを今度取り込んでいってデモを作って…デモというかプリプロだよね、で、やってからいわゆるヨンパチのあるスタジオに持ち込んで、本録りをやるっていう、そういう流れだったじゃない?

マニピュレーター: シンセサイザーやシーケンサーをプログラムする専門家のこと。コンポーザー(作曲者)が支持し、それを踏まえ、データを打ち込む人。
プリプロ: レコーディングする前に、曲構成等を確認をするため「簡易的なレコーディング」を行うこと。
ヨンパチ: デジタルの48ch録れるMTRのこと。現在ではその代わりにProToolsなどのソフトが使われている。

Takashi: そうですね。
sugiura: それが、どんどんパソコンの普及と共にさ、こう、変わってったじゃん。その流れが。「オマエがやれるんだったらオマエが一番作るほうが結論が早い」ってことで、パソコンを買わされてね…やりたくないのに…
Takashi・miqui: (笑)
sugiura: 未だに打ち込むのイヤだもん!どっちかっつーと。

Takashi: いやでもすごいっすよやっぱり。僕に出来ることって結局分かりやすさみたいなところ、デフォルメなんですよね、結局僕の作ってるものって。あの、深いところとか、想像をこう持ち上げるような、みんなに想像させるというよりは、もう出来上がったものをデフォルメして、みんなに直線的に伝える音にしかならないんですよね。
sugiura: でもそれは、すごい武器だと思うよ。この前聞かせてもらった曲とかでもさ、一回聴けば「どうやりたい」「何をやりたい」っていうのがしっかりわかるように出来てる、っていう意味じゃすごいよね。その一曲で完結できているっていうかさ。
Takashi: でも逆に多分、miquiさんみたいなボーカリストを目の前につれてこられて、「さあこれを好きにいじってくれ!」って言われたらオレ絶対できないから。(笑)
miqui: (笑)
Takashi: 絶対無理っす。(笑)
miqui: あーあーあー…
Takashi: やっぱり分かりやすく、ポップスっていうのを歌う子、まぁアイドルなんかは「歌」っていうかわからないですけど、「この子達を可愛く見せるのにどういう風にするか」っていうところのラインはいけても、「この素材を使って何でもしてください!」っていう、あの(NOW PRINTINGの)空気感から何からは絶対に作れないなって思いましたね、やっぱり。
sugiura: うーむ。
miqui: でも(ハインリヒの)最初はやっぱりね、何も分からないじゃない?私にどういう技量があってとか。だからすごい、なんていうんだろ、セリフみたいなところから入ったよね、一番最初に作った曲は。「歌」っていうよりも、私がなんかしゃべってるのに近いというか。そこからコーラスを入れていったりして、広げていったというのが、最初にやった曲(RELOAD/2003年「更新9と1」に収録)で…
sugiura: そうだね。
Takashi: …凄いよなと思う。自分がこういう風な歌い方を出来るボーカリストではないじゃないですか。だから凄いな…歌にしてもやっぱ凄いなと思いますよ。だから、このコンビネーションは凄いなぁって思います。広がるじゃないですか。自分がやったことに対して、さらにもうちょっと上にいったりすることやってくるじゃないですか、お互いに。多分、こういう関係性って。
sugiura: うーん…
Takashi: 「こうやって!」っていう指示じゃないですよね?きっと。
miqui: いや、割とそうよ。
Takashi: ほ、ほんとに?!
miqui: うん(笑)
Takashi: (笑)
miqui: 割と「こうやって!」って言われて…だからすごいパニくるときもあるし。
Takashi: 「何それ?」みたいな(笑)
miqui: そうそうそう。
Takashi: (笑)
sugiura: しかもそれがさ、最終的にさ、TDコンバートされるときまでさ、見えなかったりするものってあるじゃん。

TD: Track Down(トラックダウン)の略。マルチ(複数)トラックに録音された音(ボーカルや各楽器など)のデータをステレオ1トラックにまとめること。
コンバート: データやプログラムを他のデータ形式に変換することを差す。音楽では、例えば最終的にAIFFやWAVファイルに変換すること。

Takashi: ある。
sugiura: 「この素材、本当に必要ですか?」みたいなものとかさ(笑)
Takashi: あるある(笑)
sugiura: でも最初に、それが頭からあるものは、そのときですでにオレの中では出来ていたりするんだけど、例えばピアノとかさ、コードだけで打ち込んだやつ聞かせてもさ、結構限界があったりするじゃん。「これがBassになってね」とか言ってもさ。その辺でのギャップは生じるよね。だから完成したものを聞いてもらうしか、人に伝達する方法がないんだよね。
Takashi: そう、だからとくに、あの手の音楽(NOW PRINTING)はそうだと思う。ちゃんと出来上がらないと、見えないですよね。
sugiura: 見えない見えない。
Takashi: 僕の曲とかは、わかりやすいんですよ。ようするにコードがあって、メロディがあって「大体こんな感じになりますよ」っていう。リズムパターンがあれば「ああ、なるほどなるほど、こういう感じね」と。で、そこに歌詞が乗っちゃえば、誰がとりあえず歌っても、それっぽくなるようにはなっているじゃないですか。そうするとね、すごくね、分かりやすいんですよね。だから早いっちゃ早いんですよ。みんなのつかみが早いんですけど、「出来上がってみないと分からない」という賭けにはならないというか。
sugiura: まぁそれもアレだよね、自分がやってるユニットだから可能なことだよね。例えばそれを、いわゆる他の人を立ててやるとなったら、恐らくああいう音にはならないよね。
Takashi: ああ、まあそうですよね。確かに。
sugiura: 例えばART±MODEとかも、あのまま直線状にモノを作っていったら、…例えば最終的にはさ、グルーブマシンというかさ、リズムボックスみたいのからリズム出してさ、で、ボーカルにディレイ(音を遅らせて再生するエフェクター)かけて、「以上!」とか言ってるかもしんないというか。
Takashi: (笑)
sugiura: そっちのほうに行っちゃってると思うんだよね(笑)
Takashi: そっちに行きたくなりますもん、やっぱり
sugiura: そうなってたと思う
Takashi: なるなる。その、バンド入れてやってもそうだし、打ち込みでやってもそうだし、その辺通っていくと、じゃあDJとやったら面白いかなとか、
miqui: あー…
Takashi: だんだんそうなってくるじゃないですか、まず思考が。それで、結局行き着くと「もういいよぉーデジタルー;」っつって、「生バンドがいいよぉー」とかになるんですよ、絶対。
sugiura: なるなるなるなる。
Takashi: そこにまた戻ってくる。
miqui: わーかーるー。ぐるぐる。
sugiura: ぐるぐる。
Takashi: で生バンドやってみたら今度「なんか音足んなくね?」で足し始める。
miqui: で同期!
Takashi: そうそう。
sugiura: そうね。
Takashi: また戻ってくる。
sugiura: で、ライブで再現できなくなっちゃう。
Takashi: そうそうそう(笑)結構そういうものなんだな、という風には思います。やってると。

sugiura: だってその、使う楽器とかさ、アプローチとか、本人は大事にしちゃうけどさ、それって一番大事なことじゃなかったりすると思うんだよね。
Takashi: うん。
sugiura: 見せ方として限定しちゃうよりは、その時その時のタイミングに合うだけのことをやればいいだけで、だからそれをなんていうのかな…嫌々ながらやってたりすると、モノとして面白くなくなっちゃうからね、どうしても。
Takashi: そうですね。
sugiura: いい音楽とか…ようは自分の思っていることをタイムリーに打ち出せるかどうかっていうのはすごく難しいじゃん。とりわけその、他の人間とかさ、絡んできちゃうとさ、ここは言っていいのかわからないけど、その、なんつーの、タイムリーにモノを発信できない。
Takashi: ラグは大きいですよ。大きい。
sugiura: めちゃめちゃあるから、出る頃には完全に冷め切ってる感じじゃん?
miqui: (笑)
Takashi: そうそうそう(笑)自分達も「もう飽きた!」っていう状態ですもんね。
sugiura: そうそうそう(笑)「今コレやれっていうんですか!?」みたいな感じでも結構ライブでやんなきゃいけなかったりさ。
Takashi: ART±MODEの時なんかほんとそうだったと思いますよ。
sugiura: そうだね。うん。
Takashi: (ART±MODEは)後半は楽しかったなっていう印象がありますね。やってみよう!で「よーいドン」でやれちゃう楽しさがあったし。それこそシーケンスない曲もやってたじゃないですか。

シーケンス: シーケンサーとも。自動楽器(ミュージックシーケンサ)の制御(または制御データ)という意味で使う。ライブなどで、もともと打ち込んであるデジタル楽器の演奏データ(シーケンス)を再生し、一緒に演奏することを「同期」と言う。

sugiura: そうだね。
Takashi: 意外と面白かったなっていう。
sugiura: うん。

え、じゃあ何で音楽やろうと思ったの!?(miqui)

Takashi: 自分が今やっている「Σ-sigma-」っていうバンドについては、あんまり、全然活動していなくってですね…
sugiura: でもこの前聞かせてもらったよね?
Takashi: Σ-sigma-?あーそうですね。
sugiura: あれもでもね、キャッチーだった。
Takashi: めちゃめちゃキャッチーですよね。
sugiura: キャッチーキャッチー。
miqui: (笑)
Takashi: もう自分でもキャッチーだなぁって思って作った…
miqui: キャッチーなものがやっぱり好きなんですか?
Takashi: 好きっていうか、僕元々音楽聴かないんですよ。これ言っていいのか…
miqui: (笑)
Takashi: ほんと音楽聴かないんですね。
miqui: うんうんうん。
Takashi: で、最近に至っては、ヒットチャートすら知らないっていう。なので、自分の中から出てくるメロディとか、アレンジとか、そういうモノっていうのの枠が、多分子供の時とかに聴いてた曲?ぐらいしかないんですよね。
miqui: えー!そうなんだ。
Takashi: そう、で、洋楽も聴かないし。
miqui: え?え?元々好きなアーティストとかもいないの?
Takashi: とくに…
miqui: (笑)え、じゃあ何で音楽やろうと思ったの!?

【3】音楽を発信し続けるためにはへ続く…


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