Talk w/z Takashi【4】

【4】商業音楽家に好かれる理由

ピッポコピッポコとかやってたら殴られますよ。多分(笑)(Takashi)

Fishing with music / photo by D-32

sugiura: (Σ-sigma-が担当した舞台「臥龍頂上伝シリーズ」の主題歌「DRAGON ROAD」を聴いて)エンターテイメントととして、作品を捉えられてると思ったのね。自分の中で自己完結していないというかね、凄く外に向かっていこうとしている音というか。オレの中での作曲の作業っていうのは、まず自分が楽しいかどうかで、上がった音楽も楽しいかどうかなんだよね。ようは「いい」か「悪い」かしかなくて。よきゃいいじゃんみたいなさ、感じだから、「絶対こうしなきゃいけない」みたいなのがないんだよね。コンセプチャルじゃないというよりは、なんていえばいいのかな…楽しいかどうかなんだよ。ほんとに。だから、多分ね、その、ないんだよね。Takashiみたいなそういう発想っていうかさ。
Takashi: いや、だから、多分、このNOW PRINTINGで、さっき言ってた、ミニマムテクノ(BLACK & WHITE DOGS)みたいのが出てくるわけなんですよ(笑)何をやっちゃいけないとか、何をしなきゃいけないというキャラを、ある程度はまぁね、自分達の設定はあるとは思うんですけど、「そこを飛び越えていい自由度」っていうのを持ってやってるから、ああいうことが出来るわけじゃないですか。
sugiura: そうそうそう。
Takashi: 僕自分のバンド(Σ-sigma-)のアルバムで「ミニマムテクノやりたい」って言ったらブッ飛ばされますよ、多分。
miqui: なんでー?
Takashi: 相方に…
miqui: やればいいのに。
Takashi: ピッポコピッポコとかやってたら殴られますよ。多分(笑)
sugiura・miqui: (笑)
sugiura: でもさ、その人が聞いてる音楽の中でさ、その音楽を聴きながらさ、例えばさ、掃除したりさ、ごはん作ったりするかもしれないじゃん。どんな状況にそれがハマるのかわかんないわけだから、どんな曲でも基本的に可能性はあると思うよ。
Takashi: そうですよね。
sugiura: 例えば「これが曲と呼べるのか!?」というのに初めて出会う人もいるわけじゃん。
Takashi: うんうんうん。
sugiura: それが衝撃であったらいいと思うし、それを聴いて「ふざけんな!金返せ!」と思っても、それはそれで楽しみ方だと思うわけ。
Takashi: そうですね(笑)
sugiura: 「これ違うんじゃねぇの?」と思ったとしても。
Takashi: 確かにね。このアルバムを、元々(ハインリヒのことが)好きで買ってくれる人っていう人達はきっとその世界観も分かってるし、その考え方もある程度は分かりながらだから、いいと思うんですけど…
sugiura: まぁそう(笑)
Takashi: じゃあ、例えばこの対談とかで僕のファンの人達とか、そこから派生してアイドルのファンの人達とかが「あ、面白いな」と思って、この会話が「面白いな」と思って、じゃあ「ちょっと買ってみようかな」って思うとするじゃないですか。多分、衝撃受けると思いますよ。
ALL: (笑)
sugiura: 「ふざけんな!」と。
Takashi: いや「ふざけんな!」じゃなくって(笑)「こういうことってあるんだ!」っていう音だと思う。多分。
sugiura: そうかもしんないね。
Takashi: 割と僕は、前に勇紀(sugiura)さんとやっていたこともあり、あの方向性ってなんとなくわかってるじゃないですか。
sugiura: やりかねないっていう。

Takashi: ミニマムもそうだし、さっき言ってた、パットから入ってブレイクビーツ行ってっていう流れも、もう僕の中では「なるほどな」っていう。
sugiura: いかにもやりそうだな、っていうね。
Takashi: しかも、あれを昔やってたから、僕もああいうことが得意だし、ああいうのが好きなんですね。だからああいう音楽は聴くんですよ。意外と普段でも。ブレイクビーツはすごい聴くんですよ。
miqui: へぇ…
Takashi: 誰っていう限定はなく、アーティストとか知らないんで、覚えもしないし(笑)
miqui: 覚えもしないし(笑)
Takashi: 流れてくるものをただただ聴くだけなんだけど。だからあれは僕は心地いいけど、本当に僕のファンの人とか、アイドルのファンの人とかが聞いたときに、どう思うのか?っていうのが、凄い知りたい!
miqui: じゃあ感想を…
Takashi: 感想聞きたくないですか?だって…「どうなの?」って。
miqui: 聞きたい!(笑)
sugiura: 聞きたい。
Takashi: 是非、そのね、買ってもらうとか…どっかで聴けないんですか?
miqui: あ、MySpaceとかで…
Takashi: あ、じゃあMySpaceで聴いてもらって、感想をください!って。
sugiura: そうね。
Takashi: それ面白いですよね。あのー、メールとかが面倒くさかったらツイッターとかで僕につぶやいてください。って。
miqui: いい!ハッシュタグつけてもらって…
Takashi: ハッシュタグ(#HVO_NP)つけてもらって。

「なんだかよくわかんないけどいい」って言われたらもうそれでOKかなって。最高だよ、それが。(sugiura)

sugiura: なんだろうな、面白いのがさ、音楽をやってる人っていうのがさ、すごい魅力的がってくれるのよ。例えば前「(某ジャンプ系アニメ)」の主題歌書いてたMさんていう人がいるんだけどさ、あの人とかが「ものすごいファンだ」って手紙をもらったことがあるんだけど、でもそれは多分その人が普段いわゆる商業音楽だってことを割り切ってモノをつくってるから、自由にやっている姿っていうのが…多分その人の中にもあるんだと思うんだよ、そういう欲求だったり、本当はこういうこと書きたいっていうのがあったりさ、それをモロにオレとかがやってると、それが痛快なんじゃないかな。
Takashi: それはあると思います。
sugiura: そういうことをやってないと分からない痛みってあるじゃない。本当にやりたいことであっても出来なかったり、使いたい言葉でも使えなかったり、そういうジレンマと常に戦っているんだと思うんだよね。そういう足枷みたいなものがうちの音楽にはないから、喜ばれるのかなって。
Takashi: そうですね、だからやっぱり昔からそうじゃないですか、勇紀(sugiura)さんの音っていうのは業界的に評価がやっぱり高いじゃないですか、いつも。
sugiura: でも、それっていうのはさ、いわゆる、一言で言うと「マニア受け」ってことだと思うからさ(笑)
Takashi・miqui: (笑)
Takashi: ま、ま、まぁね、そうかもしれないですけど、でも今その「マニア受け」と、「素人受け」っていうのかな、玄人、素人っていうのかな、そこの差って今結構無いかなって気がしてて。ていうのは例えば今アニメの音楽とかでも「マニアックだな」って曲多いじゃないですか。結構どストレートなアニメソングっていうのもあるし、子供向けのもあれば、なんだろ、アニメファン向け?ですごく分かりやすい…声優さんが歌う曲もあるし、でも菅野ようこさんがやるようなものもあったりするってところで、結構幅が広くなってきて。菅野ようこさん好きって人すごく多いじゃないですか、アニメファンとかだと。そういう意味では、そういう音作りとか、マニアックさみたいなものっていうのを、どう作ってるかもわからないし、だけど「なんかよく分からないその空気感がかっこいいと思う」っていう人が増えてると思う。
sugiura: 絶対その「感覚でしかない」っていうのがあると思うんだよ。
Takashi: 別にブレイクビーツっていうジャンルであれ、テクノっていう風に大きく呼んでも、例えば四つ打ちかトランスかなんなのかなんてのがわからなくても、「なんかこの空気感がかっこいい」っていう人達が多いですよね。
sugiura: そうそう、そういう意味では「語らなくていい音楽」なんだよね。「これはこういう意味でね」とかさ、そういうことをしないで聴ける音楽だとは思うんだよね。だからあえて「僕はこの音楽はこういうつもりで作りました」とかっていうのは全然ないんだよね、実は。

Gaming Plastic / photo by gregsdumbflickr

Takashi: だから多分このアルバムっていうものを、アニメファンの人が聞いても、多分違和感はないのかもしれない。うちの弟、ゲームオタクなんですけど、僕が今日ここに来る前に流してたんですよ、話すのにもう一回聴こうと思って(笑)
miqui: ありがとうございます(笑)
Takashi: で、流してたんです。で、流してて、部屋が離れてるんですけど、むこう(弟)の部屋に聞こえてたみたいで、出際に「さっきの何?」って言われて。「なんかかっこいいと思って」って、「ゲームの音楽とかでありそうだしすごいかっこいい」って言ってて、
miqui: へぇ~
sugiura: ああ、もう最高の意見じゃないですか。
Takashi: そうそうそう、なんだかよくわかんないんですけど、かっこいいんですよ、多分。
sugiura: そう、それ大事!
ALL: (笑)
sugiura: なんだかわかんないけどかっこいい、それなんだよね(笑)
Takashi: そうそうそう、細かいことはいいんだよ(笑)
sugiura: そうそうそう、分かんなくていいんだよ(笑)っていう。
miqui: ジャンルとかね。
sugiura: そうそう、それはもうなんていうのかな、押井守の「攻殻機動隊」とかさ、「分かってくれ!」とは思って無いじゃん、絶対。
Takashi: なんかわかんないけどかっこいいな!っていうことでいい。
sugiura: 逆に言うと、感覚で聴いてもらう以上は、「こうだ」と提示しちゃいけないんだよね。決まった、断定的なもので打ち出してはいけないし、「なんだかよくわかんないけどいい」って言われたらもうそれでOKかなって。最高だよ、それが。
Takashi: そういうものだと思いますよ。
sugiura: すみませんね、そういう楽しみ方をしてもらいたいので。
Takashi: そうですよね、まぁ僕の作る音楽とは方向性が違えば多分考え方も違うところではあるんですけど、そういう「かっこよければいいじゃん」っていうやり方が出来るのは単純に羨ましい。だから多分業界受けするんだっていうところは、流れとしてあるんだと思う。
sugiura: そうそう、だから、なんだろうな…自分をカテゴライズしないでさぁ、あるいは割り切ったりしなくてもモノは作れるんだっていうさ、そういうところを試してみたかったっていうのはあるよね。
Takashi: そういう話をしていると、なんか僕が、アイドルソングを作ってるのがイヤみたいなんですけど、そうではないですから(笑)
ALL: (笑)
sugiura: いやいやいやいや、とんでもないとんでもない、だから…
Takashi: 全然いやじゃないです、一応ね(笑)
sugiura: そういうのも分かってるしさ、それはそれで絶対いいことなんだよ。
Takashi: まぁ多分、人には歴史だったり、バックグラウンドがあるじゃないですか。で、勇紀(sugiura)さんが通ってきた道とか、miquiさんが通ってきた道とか、色んなのがあって、それが交わったのが今の形ですよね、きっと。で、この音とかにはバックグラウンドがあるじゃないですか。で僕がアイドル好きっていうバックグラウンドが元々あるから、なんかもう子供の頃からアイドルオタクなんで、僕は。
miqui: そうなんだ!

【5】アイドル作曲家道へ続く…


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