Talk w/z フランク重虎(VALKILLY)&KIRIA【4】

【4】映画と音楽~ブレイクビーツと攻殻機動隊~

じゃあ(青い花と)結合してしまったほうがいいじゃないかっていう。(sugiura)

KIRIA: 私ドラムンを知ったのがおととい?だっけ。で、今までシンセサイザー、Fantom-X使ってるんですけど…
sugiura: それがすごい!
フランク重虎: それがかっこいいなぁ!って(笑)
sugiura: そこがもう普通じゃない!(笑)
miqui: (笑)

Fantom-X:ローランドのワークステーション型シンセサイザー。写真は後継のGシリーズ。

KIRIA: や、あまり知らなくて。何買えばいいかな?ってなったときに、音楽やっている知り合いの人が「オレ、Fantom-X使ってるよ」って言われたから「じゃあそれにしよう!」みたいになっちゃって。それ買ったのはいいけど、まだ使いこなせてないんですけど。
フランク重虎: で、3日前まで、(KIRIAは)ブレイクビーツという存在を知らなかったんですよ(笑)
KIRIA: そう!なんか、でも知らない間に使ってたんですよ、私。
miqui: あぁ、(そういうこと)あるね。
KIRIA: あ、なんかそういうの、あったな?って。
フランク重虎: ドラムのテンポで、ブレイクビーツを回すんじゃなくて、いわゆる(BPM)130とかそこら辺のテンポで普通にブレイクビーツ流してて。それを(BPM)180くらいでブン回すということを知らなかったみたいで。そうするとああいう風(ドラムンベース)になるので。
miqui: あぁ~。
フランク重虎: だからドラムンベースのブレイクビーツとHipHopのブレイクビーツ、別モンだと思っていたんですね。
miqui: あぁ~!
KIRIA: ほんと、全く。また別になんかシンセサイザーの中に入ってる音色みたいなのがあるのかな?と思ってて。どうやったらその「ABANDON」みたいな感じのリズムを出せるんだろうなぁ、と思って。
sugiura: はいはい。
KIRIA: 前も菅野ようこの曲聴いたときに「こういう曲やろう!」と思って。
miqui: うんうん。
KIRIA: パットがあるんですけど、それを一個一個打ち込んでいたんですよ、私。やり方わかんなかったから。
miqui: あぁ…。
KIRIA: 「コレ、無理!」と思って(笑)
miqui: (笑)
KIRIA: 「多分、間違えてるなぁ…やり方…」と思って。放置してたんですけど。
フランク重虎: とにかく沢山リズム鳴らしたりして。
KIRIA: そう!シンバルとか一個づつ入れちゃったりしてて。「これ絶対…こんなアホみたいな作り方してない!」と思って。
miqui: でもそれ絶対役に立つよ!その行動は、ね!
KIRIA: (笑)
sugiura: 最初は絶対、そこだもんね。オレもQY10とかで、打ち込んでた時があったし…

QY10:「QY10(キューワイテン)」は、ビデオカセットサイズのAWM音源内蔵のパームトップシーケンサー。1990年発売。9トラック構成、76種のバッキングパターンが入っている。>>公式

KIRIA: だから「ドラムンというのがあるんだ!」と思って感動して。こないだ。(フランク重虎氏が)「こういうのでしょ?」ってパッと作ってくれて、「あ!これ!これ!」みたいな感じになって(笑)あ~そう、簡単に出来る、ちゃんとしたやり方があるんだなぁと思って、発見したりとか。
miqui: うんうん。
フランク重虎: (ドラムンは)早くて、こうバーっと、どこで何を打ってるのか分からなかったっていう。スネア、キック…
KIRIA: 何がなんだかっていう。
miqui: あぁ…確かに何がなんだかわかんない(笑)
sugiura: 確かに。リサイクルさせるときは感覚ですもんね。おおよそこういう感じで貼っていくと、割とそう(ドラムンに)なっていくっていう。あれは、なんか「もう一度やれ!」と言われたら出来ない感じの(笑)
KIRIA: (笑)
フランク重虎: 二拍裏で打ち返したりする感じですか。
sugiura: そうっすね~、ベーシックになるタイコのトラックだけは、僕は…あれはBFDかな?BFDかなんかで打ってて。それをSSLのE-Channelかな?あれのコンプあるじゃないですか。あれでドッカリ歪ませて…それで…あれはパラじゃないな…2ミックスでドーンと録ったりして時間稼いでたりするんですけどね。でもループはほぼ確実に入っていますよね。軸になるようなループはある。

BFD:ドラム音源ソフトウェア。ロンドン・リンドハーストのエア・スタジオで24 bit収録された、高精細なマルチ・チャンネル・ドラム・キット。

SSLのE-Channel:Solid State Logic社のライセンスを受け開発されたプラグイン・バンドル(写真)に搭載されているEQ。

パラ:パラレル。この場合、ドラムのキックやスネアを、1トラックづつレコーディングしていくこと。

2ミックス:ステレオ(LR)の二本にまとめた音源のこと。

フランク重虎: あれは作っているとほんと面白いですよね。
KIRIA: すごい楽しそうだと思った。
sugiura: なんか、楽しいっすよね。
フランク重虎: やってて気持ちがいいですよね。
KIRIA: 私も一時期、自分でできないのがわかったので(笑)「できない!」と思って、諦めていたんですよ、もう。私の今の知識じゃ無理なんだなって思って。もう忘れてたつもりだったんですけど「ABANDON」とか聴いて、「あっ!コレキタ!」と思って!「これ、すごいよね!どうやってるの?」って訊いたら、「これ、ドラムンだよ」みたいになって。「あ、そういうのあったんだ!」っていう(笑)なんかハインリヒの二人の曲のおかげで思い出した、みたいな(笑)
フランク重虎: ホントに好きで。僕が初めに曲をまとめるのに、(KIRIAの)家に遊び行ったときに、攻殻機動隊を散々見せられたんですよ。
KIRIA: (笑)
miqui: あ、そうなの!?
KIRIA: 全部持ってるんですよ、DVD。
sugiura: あ!じゃあホントに…。僕も攻殻機動隊大好きで。あまりにも好きだったから。…押井監督に一回会ったことがあって。
KIRIA: うわぁ!羨ましい!すごいっ!それは…なんでですか!?
sugiura: なんかイノセンスのイベントがあって。チケットもらって行ったんですよ。したら、たまたまちょっとだけお話できて。

割と好きな映画って、自分の作る音楽に影響受けたりしますよね。世界観的なものは。(フランク重虎)

KIRIA: あぁ…イノセンス、よかったですよね!ちょっと中国っぽい曲でしたよね、なんか。
miqui: うん。まさに、青い花はそういうのやってたの。
KIRIA: いやもう、すごい聴きたいです!
miqui: (青い花のアルバム)あげるよ~。
KIRIA: うわぁ~やったぁ!私、和ロックとか好きなんですよね。和風の。「侍魂」(KIRIAさんの曲)も、本当は琴とか入れてたんですよ。…(miquiからCDもらって)やった!すごいうれしい!ありがとうございます!!「落落磊磊(ラクラクライライ)」
miqui: そう。まさに。

「落落磊磊(ラクラクライライ)」:ハインリヒの別名ユニット「青い花」の1stアルバムのタイトル。「落落磊磊」は、映画「イノセンス」のセリフから。>>「落落磊磊」特設サイト

KIRIA: すごーい!うれしい!やったぁ!和風テイストが好きで。尺八とかも(自分の楽曲で)使うんですよ。
miqui: じゃあドンピシャだね。私の代わりに(青い花の)ボーカルになっていいよ!くらい(笑)
sugiura: 青い花2!
KIRIA: (笑)これ(青い花)は…一緒にやってたけど、辞めちゃったんですか?
sugiura: Heinrich Von Ofterdingenていうのを最初作ったじゃないですか。その後すぐに****(某芸能事務所)の人にスカウトされるんですよ。で「お前ら今日から和風でやれ」みたいな。
miqui: 「和物に絞れば?」みたいな。土着(エスノ)って分かりずらいから、「名前も変えて、和物で、それ一本でやったら?」みたいな感じだったの。
KIRIA: なるほど。
miqui: でも攻殻機動隊とか好きだったから、
sugiura: まぁ、いいかな?みたいな。
miqui: ちょうどそのイノセンス(事実上の攻殻機動隊2)公開とも重なって。まさにそれっぽいのが(CDに)入ってる。
フランク重虎: じゃあ、アジアンサイバーパンクというか。
miqui: そう、まさに。
KIRIA: いやぁ、超うれしい。これは。
miqui: 聴いてください、よかったら。
KIRIA: 帰ったら即行聴きます。
miqui: ぜひぜひ。…修行だったよね。それやってた2年間は。
フランク重虎: 2年やってたんですか。
miqui: 2年くらいかな。2~3年やったかな。
sugiura: まぁでも解散したって感じではないんですけどね。基本的にその、そこでやっていたことっていうのは、今のハインリヒも入ってると思うんですよね。いわゆる民族テイストみたいな、そういう感じのものはおそらく(ハインリヒにも)入っているから。じゃあ(青い花と)結合してしまったほうがいいじゃないかっていう。今後、そういう和っぽいのがあってもいいかな?くらい。
KIRIA: ちょっと雰囲気変えるために、とか。
miqui: そういう要素があってもいいかな?って。
フランク重虎: AKIRAのサントラとか好きですか?
sugiura: 好きですね。あの山城組のね。なんかブルガリアンボイスのセミナーが、山城組でやってるから行きたいとか、(miquiが)昔言ってたよね。
miqui: そうそう。
フランク重虎: ちなみに、あっち…MADMAXとかあっち系は好きですか?
sugiura: あ~、MADMAXの映画のサントラの印象が思い出せないんだけど…
フランク重虎: あ、映画自体とか。
sugiura: そうですね。僕はああいうのも好きですし…あれって誰でしたっけ…
フランク重虎: 割と好きな映画って、自分の作る音楽に影響受けたりしますよね。世界観的なものは。
sugiura: そうですね。寧ろそういうところじゃないと、例えば音楽だけ聴いてると作れるかって言ったら作れなかったりして。映画であったり…
フランク重虎: ビジュアルが伴いますよね。
sugiura: そうですね。その、とりわけエンタテイメントみたいなものは好きで。あと、ブレードランナーとか、もう基本中の基本で。
フランク重虎: あ!もう基本中の基本ですよね。
miqui: あぁ、ブレードランナー。
KIRIA: (フランク重虎に)すごい紹介されて観ました。
フランク重虎: まぁ若い人は…これは観ないとね!っていう。
miqui: (私)全く知らなかった。
KIRIA: (私も)全然知らなくてほんとに。

「これ(NOW PRINTING)がサントラのアニメ、観てぇ!」って。(フランク重虎)

sugiura: あのバンゲリスの、あの音って、また今来るような気がする感じしませんか?
フランク重虎: ですよね!僕もそれを信じて、「辞めない!辞めない!」とか思って。
miqui・KIRIA: あぁ~。
フランク重虎: 今まで、80’sとか帰ってきたりしてたじゃないですか。リバイバルで。一回もリバイバル来てないのは、サイバーパンクだけなんですよ(笑)
miqui: あぁ~!
フランク重虎: サイバープレップ(Cyberprep)という形では出てきてはいたんですけど。もうちょいキレイめのサイバーパンクというか…マトリックスとかの。いわゆるゴシャゴシャのサイバーパンクっていうのは…80年代から…
sugiura: 音楽性自体も違いましたもんね、マトリックスは。
フランク重虎: いわゆる、モヒカンのサイバーパンクじゃないんですよね。
sugiura: そうですね。唯一、よかったのはジュノ・リアクター(JUNO REACTOR)。
フランク重虎: あー!はいはい。
miqui: ジュノか…
sugiura: あれは良かったですね。まさにあの人。ジュノ・リアクターが売れたってことは、(マトリックスに)ドンピシャなんですよ。
全員: あぁ~。
フランク重虎: 確実に本人ボンクラですよね。…ジュノ・リアクターかっこいいですね。
sugiura: かっこいいですね。
フランク重虎: やっぱり、どこか薬クサイところがあるんですね、音楽に。薬クサイというのもあれなんだけども。すごいケミカルな感じの。
miqui: (笑)
sugiura: うちの曲で「REALM」という曲があって、その曲がまさにブレードランナー風な感じを…
miqui: 民族っぽい。
sugiura: ヘリ(ヘリコプター)的なものが飛んでるような。
KIRIA: あー!
フランク重虎: 下のほうでは路地で露天商がいるみたいな。
sugiura: そうそう。そういうイメージで。
KIRIA: かなり映像的な音楽ですよね。すごい風景が浮かぶというか…それは思いますよ、ほんと。
miqui: (sugiuraに向かって)すごいじゃん!やるじゃん!
sugiura: こ、こんなに褒められて、どうしたらいいんだろう?
全員: (笑)
KIRIA: 楽屋でも言ってた(笑)
フランク重虎: アニメの映像が浮かんで、「そのアニメ、観たい!」とか思っちゃって(笑)「これ(NOW PRINTING)がサントラのアニメ、観てぇ!」って。
miqui: うれしいなぁ。
sugiura: ゲームのサントラやってて、よかったことすごいあるんですよ。宮村優子が声優だったとか…
miqui: そっちか…
フランク重虎: (笑)
sugiura: そういうのもあるし(笑)でも、それ以外にやっぱり、自分の音楽にフィードバックできたというメリットもあって。
フランク重虎: 仕事ってその修行というか、自分の技術が育つというところだったりしますよね。無理にやったりもしますんで。
miqui: うんうん。
sugiura: 基本、その監督のオファーに添ったものでやって、そうでないものはリテイクが来るじゃないですか。で、「これが逆にいいと思うんだ!」とか、自分自身の感覚だけでは完結できない部分があって。
フランク重虎: 持っていなかった視点を持てる部分が。
sugiura: 確かにそうですね。

【5】2011年モノラルショック~KIRIAの敬意~へ続く…(2011/7/16公開)


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