Talk w/z フランク重虎(VALKILLY)&KIRIA【9】

【9】「歌うしかない」~ボーカリストの苦悩~

なんか「歌わされてる」っていうイメージあるじゃないですか。特に女性って…私とかもそう。(miqui)

フランク重虎: トラックダウンとか手伝ってて、色々(KIRIAと)話するじゃないですか。割と面白いんですよね。
sugiura: なるほど。
KIRIA: 私今ボーカルの…Vボーカルだっけ?あれすごい感動して!
フランク重虎: ピッチコレクトですね。

ピッチコレクト:ボーカルのピッチを補正するソフト。音痴な歌を上手に聴こえるよう補正することができる。

sugiura: はいはい。
KIRIA: 「私超歌うめぇ!」と思いましたもん。
miqui・KIRIA: (笑)
KIRIA: ああいうの、ほんとびっくりして。
フランク重虎: あれ、魔法としか思いようがないですよね。
miqui: 魔法!(笑)
sugiura: 結局メロディラインとか、オートチューンとかだと、ある程度書いていかなきゃいけなかったじゃないですか。今ピッチクラフトとかだと一発ですからね。一撃ですからね。

メロディラインとか、オートチューンとか:ボーカルのピッチを補正するソフトの名称。音痴な歌を上手に聴こえるよう補正することができるが、手動でやらなければならなかった。

ピッチクラフト:ボーカルのピッチを補正するソフトの名称。音痴な歌を上手に聴こえるよう補正することができる。こちらはソフトが勝手にどこが正しい位置なのかを考えて、自動で歌を補正してくれる。

フランク重虎: 一撃ですよね。レールが敷かれますからね。
miqui: そう!
sugiura: 書き直すポイント、1、2箇所くらいですもん。
フランク重虎: そうなんですよ。
KIRIA: ほんとにびっくりすることが多いです。…横で見てるんですよ。マスタリングしてるのを見てて、「その機能何!?」みたいなことがよくあって。で、そのたびに「そういうことが出来るんだ今!」みたいな。
miqui: あぁ。
KIRIA: あと、ディレイとかあんなに簡単にできるんだ!って思って。てっきり私は「うぉ♪うぉ♪うぉ♪」みたいな感じでやってるのかと思っていたんですよ。ディレイのかけ方が。
フランク重虎: 一拍とか、ロングディレイとか…
KIRIA: 全部自分で言ってるのかな?って思ってて。
miqui: えっ!?うそでしょっ!?
KIRIA: ディレイを声で歌ってると思っていて。だからすごい!と思ってて。
miqui: 「ア♪ア♪」って!?
sugiura: カッコイイ!
KIRIA: すごい、前の(部分を)歌って、「うぉ♪」って言ったのにまた「うぉ♪うぉ♪」ってなるのは、全く同じ音程の全く同じ響きになるじゃないですか。あれ、すごいテクニックだな!って思ってたんですよ。でも「あ、あれってそういうことなんだ!」って思って。
miqui: テクニック(笑)
フランク重虎: 輪唱の歌い方の考えで。
KIRIA: ほんとにそう思ってたんですよ。すごい!と思って。そういうのでいちいち感動しちゃいますね。
miqui: なるほどね。
sugiura: そこで感動してくれるのはうれしいですね。
フランク重虎: うれしいですね。マンパワーが勝ってるんですよ。
miqui: マンパワー!(笑)
sugiura: 普通、そこで反応してくれる時代じゃないんですよ。
miqui: まぁね。そうだよね。
フランク重虎: そこで、もうひと注文くるところなんですよね。
miqui: うんうん、そうだね。
KIRIA: いやぁ、ほんと驚きの連続です。ほんとに。
sugiura: また、曲を書く苦しみとか、歌う苦しみを知っているっていうのがすごいデカイですよね。
フランク重虎: デカイです。
miqui: デカイ。
フランク重虎: それがなかったら、手助けしようと思いませんもん。
miqui: 逆にね。…そうだよね、そうだよ。
sugiura: やろうとしてやれないのと、何もしないのに頼んでばっかりいるのは、全然別の違う次元だったりする。
miqui: 全然違う。そうだよね。
フランク重虎: 全然違う。acid買ってるだけで全然違いますもん。
miqui: ほんとそうだと思う。素晴らしいよ。
フランク重虎: だからほんとは、きりんこ(KIRIA)のソロのライブとかあるんですけど、そこでお客さんにそういう部分も知ってほしいなと思うんですけど、なかなかやってる人ですから…そういう面でも他の子とは違うんだよ!というところを言いたいんですよね。
sugiura: でもそういうの、出てる。
フランク重虎: あぁ。
miqui: 出てる出てる!パワーが。
sugiura: 出てなかったら、こういう話にもなってなかったと思う。
KIRIA: ありがとうございます!
miqui: そう。今日見て、すごいよかったから。
KIRIA: あぁ!よかった!ありがとうございます。

私もそれで、ずーっとトイレで泣いてたことがあって。(miqui)

miqui: だってこないだ、そのVALKILLYさんと対バンしたときに話してて、(KIRIAさんは別に)ソロでやってて、自分で作ってるって聞いたときに私はすでに衝撃だった。
KIRIA: ほんとですか?!
miqui: なんか「歌わされてる」っていうイメージあるじゃないですか。特に女性って…私とかもそう。
フランク重虎: あの時(VALKILLYのライブ)は完全に歌わされてる状態だったんですけど(笑)
全員: (笑)
miqui: でもシンガーソングライター的なことをやってるって聞いて、そのときからやっぱり。
KIRIA: (miquiに向かって)曲は書かないんですか?
miqui: 私はだからもう…そのQY70のとき(コードがあってないとsugiuraに言われて)から。
KIRIA: ああ!もうくじけちゃったんですね!完璧に(笑)
miqui: そう。もう餅は餅屋だなと思って。出来る人がやればいいと思って。
KIRIA: そのキモチ、すごいわかります。マニピュレーターいれば楽だなぁって思うときありますもん。
miqui: ほんとにほんとに。
フランク重虎: (KIRIAに向かって)でもがんばって勉強もしてるんだよね?
KIRIA: なんだかんだでちょいちょい盗み聞きとか(笑)sonarの使い方とか見て覚えたり。
フランク重虎: 覚えるの早いんですよ。
miqui: …深いね。すごい!奥行きがある!話に。
KIRIA: 勉強することいっぱいあります。ほんとに。
miqui: すごいよ!やっぱり経験が糧になる。
sugiura: 「何故やらなきゃいけないか」っていう、軸がすごくしっかりしている。
miqui: 「歌いたい!」ってそれだけで突っ走ってる子もいるけど、ちゃんとそういう礎があって、基盤があって…
sugiura: 冗談じゃそこまでできないっていう。
miqui: そうそうそう!ちょっと思った。パッと思いつきでやっているのとは違う。
KIRIA: 最初は歌いたいだけだったんですけど。私、結構…自分の、例えば本当に思っていることを言おうとすると、泣きそうになっちゃうんですよ。
miqui: うんうん!
KIRIA: 言葉に詰まって、ここまで出てるんだけど「次ひとこと発したら泣く(だろう)な」っていうことがしょっちゅうあって。で、「もうだめだ、私喋れないな」と思って。そういうことを。で、そういうのを全部歌でやっちゃったら、すごい楽になって。
miqui: うん!すっごい…
KIRIA: 分かります?
miqui: すっごい分かる!
KIRIA・miqui: (絶叫)!!!
(しばらく聞き取れないくらいエキサイトする二人)
miqui: そうなの!
フランク重虎: (笑)
miqui: ほんとにほんとにそう!歌うしかないんだよね!歌しかないんでしょ?!
KIRIA・miqui: そうそうそう!!!
KIRIA: 歌しかなくて!!だから、わかってもらうには歌詞聴いて!とか思っちゃうんですよ。
miqui: うんうんうん!すっごいわかる!!
KIRIA: それが唯一…
miqui: それがやっぱりね、それがあるから続けるよね?続けてないと生きていけない!くらいの。
KIRIA: だからなくなっちゃうと、ストレス過多で死んじゃうんですね。しゃべれなくて。
フランク重虎: いつもそれ言ってるんですよ(笑)
miqui: すぅっごいわかる!
KIRIA: いいたいこと言えなくて、絶対死んじゃうと思って。
miqui: 私もそれで、ずーっとトイレで泣いてたことがあって。
KIRIA: うわぁぁかります!わかります!それ!
miqui: 音楽が、周りに出来る人がいなくて。いなくて、というか、周りに音楽をやっている人がいない世界っていうのがあって、世の中には。sugiuraは、もともと軽音とかでやってて、周りに音楽をやってる仲間たちがいたから、(学べた)っていう。私は本当に周りにいなかったから、ただ、もがくしかないわけ。アコースティックギターとか買っても、弦の張り方もよくわからないし、いつの間にかネックは反ってるし、デロンデロンになってるし(笑)
KIRIA: わかる。弦張り替えると弦で叩かれるし(笑)
miqui: (笑)
KIRIA: ミミズ腫れしましたからね!顔に(笑)
miqui: わかる!わかるわかる(笑)
フランク重虎: 緩めてやればいいのに。
KIRIA: ちがう!Gに合わせなければいけないんだけど、Eに合わせちゃって。
miqui: ほんとに分かるそれ…
KIRIA: 今ほんとにうれしい!過呼吸みたいになった(笑)
miqui・KIRIA: (笑)
フランク重虎: オレも歌ってればよかったなぁ!

「歌詞でわかって!泣いちゃうからやめて!訊かないで!」っていう。(KIRIA)

miqui: フランクさんは歌わないんですか?
フランク重虎: 歌わないんですよ(笑)
KIRIA: シュールなんだよね。
miqui: え?シュール?(笑)
KIRIA: ちょっとシュールになっちゃうよね。
フランク重虎: 歌に関してはね、シュールになっちゃう。
KIRIA: でもよかった!ボーカルの人同士の、なんか苦悩というか!
miqui: ほんとに分かる。すごい分かる。
KIRIA: うれし泣きしそう!
miqui: それだよね。そこなんだよね!
KIRIA: 「オマエ、よく歌詞にこんなこと書けるよな!」っていうことを書いちゃうんだけど。いざ、しゃべると、歌詞の説明もできないくらい詰まっちゃって。ほんと「歌詞でわかって!泣いちゃうからやめて!訊かないで!」っていう。
miqui: 感覚なんだよね、多分ね。
KIRIA: ほんと!あーうれしい!
フランク重虎: なんか、そういうかっこいいヒストリーがミキシングにも欲しいですね(笑)
全員: (笑)
フランク重虎: ミキシングないですよ。そういうカッコイイヒストリーつけようがないですもん。
KIRIA: カッコイイっていうか、唯一の逃避場所だった感じもありますよね。
miqui: そう、そう!わかるーすごいわかる…
KIRIA: いやーうれしい!すごい感動した!
miqui: 道がないんだよね。
KIRIA: そう!逃げ場所がなくて。
miqui: 行き止まりなのよ。感情の。
KIRIA: ほんとにもう。
フランク重虎: ミキシングはもう、唯一の逃げ場所といったら、もうテープエコーガンガンにかけるくらい…
全員: (笑)
フランク重虎: それ逃避っていうんですね…
sugiura: レゲエみたいな感じの(ディレイ)…
フランク重虎: 現実離れ(笑)

ハインリヒさんと出会えたのは、VALKILLYにとってもデカイ。(フランク重虎)

KIRIA: いやぁちょっと感動した。…だから辞めるっていう考えがないですもん。
miqui: ないないない。そうなんだよ。
KIRIA: やってなきゃダメって感じで。
miqui: そうね。そういう人に久々に会ったかも。
KIRIA: 私もあんまり見ないです。
miqui: っていうか、ここまでくだけられないよね、そもそも。
KIRIA: 確かに!(笑)
miqui: そこじゃん?(笑)
KIRIA: こう、くだけてくれる人がいるのはうれしいですね。ほんとに。そういう場を作ってくれるのは彼(フランク重虎)なので。やっぱり。
フランク重虎: ハインリヒさんと出会えたのは、VALKILLYにとってもデカイ。
KIRIA: 私もすごいうれしい!ほんとに。
miqui: いえいえそんなそんな…
sugiura: うちもすごく、逆に色んなものをもらっています。
KIRIA: 私、今すごい盗もうと思ってますもん。本当に、いろんなものを(笑)
sugiura: 盗めるものがあれば。
KIRIA: いや、ありますよ!今日うちのバンドのメンバーみんな見てましたよ!上で。どんだけだよっ!っていうぐらい並んで(見て)ましたからね(笑)
フランク重虎: (オレ)一人で頭振ってたよ(笑)
sugiura: 超うれしかった!
miqui: (ステージから)見えた!
フランク重虎: あんまりおっさん前のほうにいないほうがいいかな?と考えながら(笑)…

【10】「自己表現」か「音楽ファン」か~吉幾三に学ぶ~へ続く…2011/8/20公開予定


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