Talk w/z フランク重虎(VALKILLY)&KIRIA【5】

【5】2011年モノラルショック~KIRIAの敬意~

「音楽に嘘つくくらいなら、やらなくていいよ!」って(KIRIA)

sugiura: KIRIAさんは、今日初めて知ったんだけど、(バンドとソロの)二つのキャラクターがあるわけじゃないですか。
KIRIA: ハイ。
sugiura: その二面性っていうのが面白さであり、どうしてそういうふうになっていったのかな?っていうのが。
KIRIA: 私すごい自分の中で葛藤があって。最初、アコースティックギターから音楽入ってるんですけど…ストリートとかで普通にYUIとかの普通の曲をやっていたんですよ。で、その…BUMP OF CHICKENとかで(影響を受けて)曲を作り出して。で、シンセサイザーを触りだして1年半くらいなんですよ。その後ゴシックに目覚めて…曲出来るじゃないですか。でも、ギター触るとまた曲できちゃうんですよ。全くまた…アコースティックのような、ギターのものが出来ちゃって。「これ、どっちにしよう?」って思って。どっちもしたいから、1stアルバムを「The collection world」でBlackとWhiteで(2枚)出したんですよ。
miqui: おお!
KIRIA: もちろん白(White)しか知らない、アコースティック側しか知らないお客さんのほうが多かったので、いきなりあのシンセサイザーでどぎついゴシックしだしたら、「なんかKIRIAちゃん、変わった」みたいになる人もいたんですよ、やっぱり。
miqui: なるほどね。
sugiura: なるほどなるほど。
KIRIA: でも逆に、ドップリはまっちゃう子もいて。で、「どっちにしようかな?」って思ったときに、プロデューサーとかと話すときに「こっちのほうが、メジャーに出やすい」とか(話が)出るじゃないですか。それがもうすごいイヤで。
miqui: うん!
KIRIA: 「音楽に嘘つくくらいなら、やらなくていいよ!」ってなっちゃったので。両方したいんだったら、両方やろうと思って。
miqui: なるほどー!
sugiura: なるほど。
KIRIA: 出てきちゃうのは殺したくないので、やっぱり。やっちゃえばいいじゃん!っていう。で、今に至りますね。
miqui: へぇー。すごいなぁ。
フランク重虎: 今のきりんこ(KIRIA)の話を聞いて「最高だな!」と思ったのが…普通「ソフトシンセ」っていうんですけど、「シンセサイザー」って最後まで言うところが最高ですよね。
全員: (笑)
KIRIA: いや、私あれハードだから(笑)
フランク重虎: そこがちょっといいなぁって思って。
miqui: あ、そうか!ハードだから。
フランク重虎: パソコンを「パーソナルコンピューター」って言うみたいな。
KIRIA: 「プリントクラブ」って言っちゃうみたいな。「プリクラ」を(笑)
フランク重虎: そう!その丁寧な感じがすごく面白い。
miqui: (笑)
sugiura: 敬意を感じるよね。
フランク重虎: そうそう、敬意を感じる。開発者に(対して)。「シンセサイザー」って久しぶりに聞いたもん。「サイザー」の部分は久しぶりに聞いた!
miqui: (笑)
KIRIA: いやぁ、でもあれはすごい画期的なアイテムですよ。あれは。ほんと。あれの、私の15トラックくらいあるんですけど、そのトラックで、バイオリン、コントラバスとか入れるので一日かかったんですよ。分からなくて。全く触ったこと無くて。で、半年諦めたんです。
miqui: わかるーっ!
KIRIA: ありますよね?
miqui: 私も最初、QY70で作ったの(sugiuraに)聴かせたら、「全然コードがあってないよ!」って言われたの。そこからもう辞めたの。

QY70:音源内蔵シーケンサー。モバイル性があり、価格も手頃。音源単体で利用しているアーティストも多い。

KIRIA: くじけますよね!心が折れる!
miqui: もうsugiuraに全部任せようと、思って…
KIRIA: 心が折れちゃうから…(笑)
miqui: 折れた!ほんとに。しかもこの人できるから、できる人に任しちゃおう!みたいな。
sugiura: 悪者みたいじゃないかぁ!(笑)
miqui: いやいや、いいんだよ。イイモン、イイモン。
KIRIA: そう、私が今3rdシングルまで出してて、つい最近自分の楽曲がモノラルだったことに気付いたんですよ。
miqui: お、おおっ!?(笑)
KIRIA: し、シンセサイザーの、み、ミキシングあるじゃないですか(笑)
sugiura: 真ん中にしてた!?
KIRIA: これは、こういう意味(PANのこと)なんだって、わかってたんですよ、なんとなく。でも、聞いても鳴らないんですよ。だから、音楽関係の人に訊いたら、「KIRIAちゃん、それ、モノラルのヘッドフォンだよ…」って言われて。
miqui: ヘッドフォンがモノラルだったの!?
KIRIA: そうそう、ヘッドフォンがモノラルだったんですよ!だから、PAN振りしても分からなかったんだ!と思って。で、最近になって「あっ!ほんと!両方から出るんだ!音!」みたいになって(笑)
sugiura: なるほど~。
miqui: それ分かる!私も最初…この人(sugiura)ね、すごいPANを(左右に)振るのよ。メチャクチャ振るの。で、「なんなの?この音楽!?」と思ったもん。それでステレオとかモノラルとか、やっとその時に認識した。
KIRIA: 結構わかんないですよね(笑)
miqui: あんまり普段(普通に聴いてたら)わからないじゃん!
sugiura: いや、でもモノラルだけで行くっていうのはかなり上級テクなんすよ、実は。
フランク重虎: そうなんですよ、モノラルってことは100%ってことですからね(笑)
miqui: え?なになに?どういうこと?

来年(2011年)、オレ、モノラルショックが来るわ。(フランク重虎)

sugiura: モノラルだけで作るっていうのは、ビートルズ時代の、スキルのある人じゃないと出来ないんだよ。
フランク重虎: 難しいんですよ。ケンカさせるんですから、全部の楽器を。
miqui: あっ!(笑)そうか!ぶつかるのか!
フランク重虎: 逃がさないんで。
miqui: (笑)
KIRIA: そう!だからどうしたら…バイオリン3つとか入れるのに、普通に「どこのバイオリンなんだこれ?」みたいになっちゃって。
miqui: あ~!そうだよね。
KIRIA: 微妙な変化でごまかしたりして。そうしたら今度お客さんに…残念だと何もいえないじゃないですか。だから逆に「これ、音質頑張ってるね」とか言われて。「頑張ってる」=「ちゃんと出来てない」っていう意味なんだと思って(笑)
miqui: あぁ、そうか…
sugiura: いやぁ…でも…逆にそれ飛び級ですよね。
フランク重虎: 今の話を聞いて、今度出るVALKILLYのアルバム、全部モノラルにしようかと思って。
miqui: (爆笑)
sugiura: カッコイイ!モノなのに!(笑)
KIRIA: おお!「VALKILLY / mono」!(笑)
フランク重虎: 技術の粋をつぎ込んで。
miqui: タイトルくらいの勢いで!「mono」!(笑)
フランク重虎: カッケェかな?って思っちゃいましたよ。
sugiura: で、ビートルズみたいに「ステレオバージョン」があるっていう。
フランク重虎: ドラムもこっち(片方)でしか鳴ってないっていう。ある意味マルチトラックにしたらっていう(笑)分解できるっていう(笑)
KIRIA: でも本当に衝撃的でしたね。PAN振り知ったのは。去年(2010年)の六月とかなので。
フランク重虎: あ!オレ、モノラルで作ろっかな、マジで。超かっけぇよぉ。来年(2011年)、オレ、モノラルショックが来るわ。
miqui: モノラルショック!(笑)
KIRIA: そのせいで、ライブに来るお客さんが「KIRIAちゃん、音源よりライブのほうがいいね」っていわれることがあって。それ、ショックだったんですね。やっぱり、音源ってすごい、訂正したりとかごまかしてやってるから、一番いい状態のはずじゃないですか。なのにライブのほうがいいって…うれしいですけど…
miqui: 「ライブのほうがいい」は褒め言葉だよ。ね?すごく…
KIRIA: 音源どんだけダメなんだよっていう…
miqui: いや、いいんだよ、生が。それはもう、未来がある。
sugiura: そもそも一人でこう、構築しようとしているところが、
sugiura・miqui: すごい。
KIRIA: なんか、周りに全然いなかったんですよ。手助けしてくれる人が。だから全部自分でやらなきゃ、っていうのがあって。アレンジも丸投げしようとした時期があって。でも、音楽性の合う人がいなくて。「やっぱ自分でしないと、納得しないな」っていうのがあって。そこで彼(フランク重虎)が声かけてくれて。
フランク重虎: 聞けば聞くほど、好感触な話しか出てこないんですよ(笑)
miqui: 今のようなね(笑)
フランク重虎: 「それってツライでしょ!」っていうような(笑)がんばってるんですよ。
KIRIA: マスタリングとかも(フランク重虎に)任せて。音質のクオリティがすごい上がるんですよ。
miqui: おおおお!
sugiura: マスタリング、何でやってるんですか?

【6】マキシマイザーを捨てた男~音圧戦争に終止符を!~に続く…2011/7/23公開予定


Talk List


★ご意見、ご感想をお寄せください。メールフォームまたはtwitterのリプライからもOKです。ハッシュタグ:#HVO_NP

“Talk w/z フランク重虎(VALKILLY)&KIRIA【5】” への2件の返信

コメントは受け付けていません。